変化を求めて闘う
女性患者・活動家たち

変化を求めて闘う
女性患者・活動家たち

—そこに解決しなければならない問題があるから。
—そこに解決しなければならない問題があるから。

3月8日は国際女性デー。世界中で、女性たちが歴史に記した大きな功績を称えるとともに、現在も女性が直面している課題や不平等について考える日です。Project CBD は、自身が医療大麻の患者であると同時に、世界各地で大麻を取り巻く法的な状況を変えるために闘う素晴らしい活動家に敬意を表します。

この記事でご紹介する4人の女性は、大麻だけに留まらない共通点を持っています。罹った病気のせいで人生がガラリと変わってしまったこと。医薬品も現代医学もその苦しみをやわらげてはくれなかったこと。そして唯一、大麻だけが、残酷にも奪われてしまった生活の質を彼女たちに返してくれたということです。

4人の物語はそこで終わっていても不思議ではありませんし、正直なところ、それだけで十分に素晴らしいことだとほとんどの人は思うでしょう。ところがこの4人の女性たちは、解決しなければならない問題がそこにあることに気づきました — 自分たちのような患者が医療大麻を使うことを阻む法律の壁です。4人は、自分が立ち上がらないかぎり状況は決して変わらないと考えました。そして、限られた肉体的なエネルギーと強さをふりしぼり、彼女たちのやり方で世界を変えたのです。

カーリー・バートン(イギリス)

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Carly Barton - Photo credit: Sam Shaw

イギリスでの医療大麻合法化運動の中心的な役割を果たしてきたカーリー・バートン(Carly Barton)は、わずか 24歳のときに基礎疾患が原因の脳卒中を経験しました。脳に残った損傷のために筋肉けいれんとひどい神経性疼痛があり、処方されるオピオイド鎮痛薬の量は増えていきましたが、フェンタニルパッチでさえ彼女の痛みを抑えることはできませんでした。

「オピオイド鎮痛薬は、完全に感情を奪ってしまいます」とカーリーは言います。「感情に、汚れた日よけがかかっているような感じで、感覚が麻痺してしまうんです。殻の中に閉じ込められて、他の人とも、自分自身とも、自分が大好きなものともつながることができません」

友人はカーリーに大麻を使うよう勧めましたが、カーリーはしばらくの間それを拒み続け、とうとう試しに大麻を吸ってみたのは、痛みが耐えきれないほどひどくなってからでした。

「自分の身体の中を隅々までスキャンしてみたけれど、どこにも痛みを感じなかったの。そんなことは6年ぶりだったわ。そのとき初めて私は真剣に、オピオイド鎮痛薬の処方と医薬品への依存、そして大麻を取り巻くネガティブなイメージと、大麻が持つ可能性について真面目に考えたの」

当時、イギリスでは医療大麻の利用は禁じられていました。間もなくカーリーは合法化活動に参加し、2018年についに合法化が実現すると、大麻を処方される初の成人患者となりましたが、1か月分の医療大麻を買うのにかかる費用は 2000ドルを超えていました(自家栽培すれば 70 ドルです)。

とてもそんな金額を継続的に支払うことはできなかったので、カーリーは自宅で大麻の栽培を続けましたが、お金のある人とない人を分け隔てする合法大麻制度には納得がいきませんでした。

「お金があれば合法的に患者になってベポライザーを持って外出できるのに、お金がなければ犯罪者だなんて、我慢ができなかったの」

そこでカーリーは、あえて法に逆らい、地方警察に自首して自分が非合法に大麻を栽培していることを告げたのです。

「警察に着いて、家で栽培している大麻が6株ある、と言ったの。そして、法的に大麻を処方される権利があるけれど継続的にそれを買うお金がない人たちの登録制度を作ることを提案したの。その人たちには、自分の健康上の問題のためだけに使っている限り犯罪者扱いされないという何らかの保証を与えられるような制度をね」

地方警察署でのこの会話はやがて制度化され、健康上の理由で医療大麻を使用しているということを示すホログラム付きの ID カード(Cancard)ができました。患者は、警官に呼び止められたらこのカードを提示することができます。2020年9月にこの制度が開始されて以来、15,000人の患者が登録し、イギリス全土の警察がこれを支持しています。

カーリーの活動が注目を集めると、ネット上でひどい中傷に晒されました。「殺すぞと脅されたこともあるわ — どういうわけか、そういう人は首を掻き切るぞと言うことが多いの。女性に嫌がらせをされたり脅されたことはただの一度もないわ。大麻業界には自我の強い人が多くて、もっと慈しみに満ちて穏やかな声をみんなが団結して上げると、どういうわけか大麻草を自分のものだと思っている対立好きの人たちは腹が立つのね」

カーリーはこうも言います。「そういうエネルギーや怒りの一部でも上手に集めて、みんなで一緒に生産的なことにそれを注ぎ込めば、変化はもっと早く起こせるのに」

カロラ・ペレス(スペイン)

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Carola Perez

スペインの法律はめちゃくちゃで、自宅での大麻栽培と使用は認められているのに医療大麻は合法化されていません。そのため患者は非常に無防備な状況に置かれています。Spanish Observatory of Medicinal Cannabis の代表を務めるカロラ・ペレス(Carola Perez)はこの状況を変えるために闘っています。

自身も医療大麻患者であるカロラは、子どものときにローラースケートをしていて尾骨を骨折し、数え切れないほどの脊椎手術を繰り返し、大量のオピオイド鎮痛薬と抗うつ薬が彼女から十代の日々を奪いました。

「依存症だったの」とカロラはさりげなく言います。「ものすごい痛みだったわ。気絶することもあったくらい。意識を失って倒れ、何度も顎の骨を折ったわ」

生きているのがあまりにも辛く、カロラは両親に殺してくれと懇願しました。

「これ以上生きていたくない、死ぬのを手伝って、生きていたくないのよ、と両親に言ったのを覚えているわ。大麻に出会ったのはそんなときだった。あと1年遅かったら、今頃生きてはいないと思う」

カーリーと同様、カロラもまた、事故が原因の肉体的・精神的苦痛に苦しめられた日々から、大麻のおかげで救われたのでした。そしてカーリーと同じようにカロラも、他の人たちも自分と同じように助けようと決めたのです。

11回目の手術のせいでバンドマネージャーの仕事を続けられなくなったとき、カロラは Dos Emociones(2つの感情)という非営利団体を立ち上げました。「これからどうしよう、と思ったの。そして、他の患者を助けることにしたのよ」とカロラは振り返ります。

Dos Emociones を通して 1500人の患者が、医療大麻に関してスペインで最も経験豊富な医師の診療を受けることができました。でも間もなくカロラは、重要な法律の改正のためにはそれとは違ったやり方が必要であることに気づきます。

カロラは、マヌエル・グズマン、クリスティーナ・サンチェス、マリアーノ・ガルシア・デ・パラウ博士ら、スペインで最も優れたカンナビノイド研究者と協力して Spanish Observatory of Medicinal Cannabis を創設し、以来医療大麻合法化のためのロビー活動をしています。

それでもカロラは合法化に時間がかかりすぎていると感じています。

「これは薬なの。コカインを求めているわけじゃない。ただの大麻草よ。必要なデータは揃っているし、論文もたくさんある。いったいあとどれだけの苦しみを目の当たりにしたら、大麻を薬として使う権利が私たちにはあるのだということを政府は理解するのかしら」

フランチェスカ・ブリヴィオ(ペルー)

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Francesca Brivio

ペルーのフランチェスカ・ブリヴィオ(Francesca Brivio)は、女優、テレビタレント、ジャーナリストとして、多くの人が夢見るような生活を送っていました。ところが 2009年、初め腕にできた蕁麻疹がやがて全身に広がり、とうとうある夜、アナフィラキシー性ショックで病院に担ぎ込まれたのです。

いくら検査をしても彼女に何が起きているのかはわからず、ペルー中の専門医の診察を受けましたが、彼女を襲う奇妙極まりない症状の数々の原因は不明でした。その頃になると彼女の身体はほぼすべての機能を失い、車椅子の彼女には、抗がん剤からステロイドまであらゆる薬が処方されました。

フランチェスカはついに、ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨー・クリニックで、全身性肥満細胞症という稀な自己免疫疾患と診断されました。ただし、診断がついたとは言っても、医師らはどうすればその症状を抑えられるのかは知らなかったのです。

こうしてフランチェスカが失意の底にいたとき、大麻が現れました。休暇中に回ってきたジョイントを吸ったとき、彼女は初めて、痛みと吐き気がやわらぐのを感じたのです。フランチェスカには本能的に、自分に必要な薬を見つけたということがわかりました。それからほんの数か月で、フランチェスカはすべての処方薬を摂るのをやめました。試行錯誤の結果、高 THC の乾燥大麻をベポライザーで吸うと症状がおさまることがわかりました。

当時ペルーでは、大麻の医療利用は禁じられていました。そこでフランチェスカはセレブリティという自分の立場を利用してそれを変えようと決めたのです。

「私には特権があることがわかっていたの」とフランチェスカは言います。「だから、医療大麻の話をしたり、テレビに出たり雑誌の表紙になったりしたの。本当にひどい状態だったのがずっと良くなったものだから、みんな『見て、フランチェスカよ。大麻使ってるのよね』って感じだったわ」

フランチェスカはペルーで、医療大麻利用に関する法の改正になくてはならない役割を果たしてきました。彼女が主宰する非営利団体 Cannabis – Gotas de Esperanza(大麻—希望の滴)は、患者や医師の教育のためのリソースでもあります。また、ペルーにおける医療大麻のスペシャリストであるマックス・アルザモーラ医師と提携し、Cannahope というクリニックも作りました。

けれども、長年に渡って男性優位のカルチャーが染み込んでいるペルーで、女性であるフランチェスカがその意見を真剣に受け止めてもらうのは大変なことでした。

「ペルーはとても保守的で、女性を対等に見てくれません。女性である私が発言力を持ち、それを活用するものだから、風当たりが強かったわ。それが気に食わない人たちもいるの」とフランチェスカは正直に話してくれました。「お前たち女は人の世話をするのは上手いがリーダーには向かない、もういいからあっちへ行ってろ、ここからは男がやってやるから、ってわけ」

でも、フランチェスカが黙って引き下がると考えるのは、ペルーにおける医療大麻製品の開発の中心には絶対に患者がいなければいけない、という彼女の固い決意を過小評価しています。そう思うからこそフランチェスカは今、「フラン・ブリヴィオの希望」という名の自身の製品ブランドを開発しているのです。

「私自身が患者だから、常に患者に必要なものについて考えているのよ」

ミシェル・ケンドール(アメリカ)

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Michelle Kendall

コロラドに住むミシェル・ケンドール(Michelle Kendall)は、一年間の休暇をとってヨーロッパにいたときにステージ3の卵巣がんと診断されました。多くの人がそうするように、ミシェルは信頼してがんの標準治療を受けました。

手術と、数ラウンドの抗がん剤治療をしてもがんは寛解せず、ミシェルは暗い未来に向き合っていました。

ミシェルに最初に大麻を教えたのはミシェルの母親でした。

「私ががんと診断されてから、母は大麻を使っていたの。想像できると思うけど、それは母にとってはとても辛いことだったし、ここコロラドでは嗜好大麻を使うのはとても一般的なことですからね。だから私はここで、母と一緒に、初めて大麻を体験したの。単に眠るためだったわ」

その後、隣人で、開業医を引退したビルが、自分で作った大麻入りチョコレートをミシェルにくれるようになりました。すると奇妙なことが起こり始めました — 3週間に一度の血液検査で、ミシェルの腫瘍マーカーの上昇がゆっくりになっていったのです。

「あら、何かが起こっているみたい、と思ったの。それで大麻について色々読むようになり、大麻ががんに効く可能性があるのでは、と思うようになったんです」

その想像は当たっていました。ガラパゴス諸島への旅行で大麻なしで過ごして帰国すると、ミシェルの腫瘍マーカーは8ポイントも上昇していたのです。

ほとんどの人は、腫瘍マーカーが跳ね上がればパニックに陥ることでしょう。でもミシェルはそれを良いチャンスと捉えました。自分が食べている大麻入りのチョコレートが実際に腫瘍を小さくしているということが確信できたのですから。

「ショックだったし、1〜2時間は呆然としていたわ」とミシェルは白状します。「でもそれから気づいたの、これって実は良いことだわ、大麻は私に力を与えてくれる、新しいツールなんだ、って」

「つまりそれが私にとって科学に目覚めた瞬間なの、ガラパゴス実験ね。それから私は本気になって PubMed の論文を読みまくり、すっかり驚いてしまったわ」

こうして大麻に関するミシェルの猛勉強が始まりました。データを信頼する科学的な考え方の持ち主で、生物学を学んでいたことが幸いして、ミシェルは普通の人よりも、複雑なものであることが多いカンナビノイドの科学に取り組める素地がありました。また、摂取する用量を割り出すに当たっては、ボニ・ゴールドスタイン博士やデヴィッド・ベアマン博士のような、最も優れた医師の助言も求めました。

「最初は高 CBD を試したけれど腫瘍マーカーは下がらなくて、それから高 THC に変えたら、それまで受けたどの抗がん剤治療よりも早くマーカーが下がったの。その結果を見たとき主治医は言葉が出なかったわ」

体験談の共有

今日ここにご紹介する他の素晴らしい女性たちと同様に、ミシェルもまた、自分の医療大麻による成功体験を、単に自分のことに留めず、もっと大きなものにつなげたいと考えました。

「この情報が存在するのに、一歩間違えば私はそれを見つけられなかったのだと思ったら本当に怖くなったの。だから、私の体験を人に伝えなければ、と思ったのよ」

こうして、短編ドキュメンタリー『スケジュール1』が誕生したのです。

「私は末期がんで、他に治療法は残されていないの」とミシェルは言います。「両親は典型的に善良な市民で、まるで共和党の基金集めのためのパンフレットに出てくる人みたい。だからこれはとても効果的な体験談になると感じたの。この映画を作って、日々活動に努めなければ、と心底思ったのよ」

映画のタイトルは、アメリカで大麻が規制物質の「スケジュール1」に分類されていることを示しています。医療用途がなく乱用の危険性が高い物質に分類することで、過去 50年間、重要な研究が阻害されているのです。ミシェルにとってこれは許すべからざることです。

「偏見のない医師は大麻に秘められた可能性を知っているのに、十分な研究ができない、と考えるととても頭にくるわ」とミシェルは言います。「道義に反するし、残酷よ。この国では科学が重視されていなくてすごく悔しいの、人の命に関わる話なのに」

映画『スケジュール 1』は好評ですが、ミシェルのがんとの闘いは今も続いており、現在はがんが再発しています。

「ときどき、朝目が覚めて、とにかく生きて夫を愛したいだけ、と思うの。かと思えば目が覚めるとお腹がカッカと燃えるようで、麻薬取締局をめちゃめちゃに壊したくなることもあるわ」

「50歳にならずに死ぬなんてとても受け入れられない。でも、もしも私のことが端緒になって、医療大麻への理解が少しでも進展するのなら、私の死には意味があると感じられるわ」



カーリー、カロラ、フランチェスカ、ミシェルのインタビュー全編は、ポッドキャスト Cannabis Voices で聴くことができます。

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Revision date: 
3月 7, 2021

本サイトの内容は、アメリカの非営利団体 Project CBD の記事を翻訳したものです。科学的エビデンスに基づいた情報の提供が目的であり、日本国内における違法行為を推奨するものではありません。 サイトのポリシーについてはこちらをご覧ください。

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