多発性硬化症(MS)
多発性硬化症は、慢性かつ通常は進行性の疾患で、脳と脊髄の神経細胞を保護するミエリン鞘に損傷が起きます。体の麻痺、発語や筋肉協調の障害、目のかすみ、激しい疲労感などの症状があります。
カンナビノイドは、さまざまな神経変性疾患の治療への利用が提唱されています。事実、アメリカ政府が雇用した科学者らは、2001年、カンナビノイドに抗酸化物質および神経保護物質としての特許を取得し、アルツハイマー病その他の疾病の治療に有益である可能性を述べています。ソーク研究所は最近、単離された各種のカンナビノイドとそれらの組み合わせの神経保護作用についての基礎実験を行っています。
人間の体内にあるエンドカンナビノイド・システム(ECS)は、大麻草(カンナビス)に含まれる化合物に反応することからそう呼ばれています。しかし、エンドカンナビノイド・システムを調節する作用があるのは大麻草だけではありません。さまざまな植物、あるいは一部の単細胞生物さえ、ECS に作用する分子を産生します。
イタリアとスウェーデンの科学者が共同で2019年に『Planta』誌に発表したレビュー論文は、「cannabimimetic(カンナビミメティック)」な、つまり「大麻に類似した」植物について述べています。これらの植物は大麻草とは違いますが、すべての脊椎動物に必須のものである ECS に作用する、興味深い化学成分を産生します。
CBDが効く可能性のある疾患のリストを作るため、学術誌に掲載された、査読を経た何百本もの論文を精査しました。