スペイン政府、医療大麻にゴーサイン

スペイン政府、医療大麻にゴーサイン

THCとCBDの比率がさまざまな大麻製剤を、患者一人一人に合わせて薬局で調合
THCとCBDの比率がさまざまな大麻製剤を、患者一人一人に合わせて薬局で調合

スペイン政府は今年6月、さまざまな疾患に対し、国民医療制度を通した医療大麻の使用を合法化することを決定。大麻合法化活動家や医療大麻患者にとって、これは喜ぶべきことです。

ここ数年、がんや神経疾患とカンナビノイドに関する画期的な研究の最先端にはスペインの研究者がいるにもかかわらず、規格化され、品質管理された医療大麻製品を医師が患者に処方することはスペインではできませんでした。大麻草の医療目的での利用は法的には認められていなかったためです。

これまで患者は、法的にはかなりグレーなところにいました。全国に数多くある「カンナビス・クラブ [訳注:大麻を吸える社交クラブ] で大麻を手に入れる人もいましたし、あえて危険を犯して自分で大麻草を(人の目につかないところで)栽培する人もいました。

その一方でスペイン政府は、多数のスペイン企業に医療グレードの大麻栽培許可を発行しましたが、これはすべて、ドイツ、ポーランド、イギリスなどへ輸出するためのものでした。

運用制度制定までの長い道のり

どうやってここに辿り着いたのでしょうか?

カローラ・ペレス(Carola Pérez)が団長、マヌエル・グズマン(Manuel Guzmán)教授が副団長を務める「スペイン医療大麻監視団(Spanish Medical Cannabis Observatory)」は、粘り強く政治家との会合を続けてきました。ほとんどが、つい最近まで、規制の変更に反対だった人たちです。

「楽観視していた時期もありますが、悲観的だった時期もあります——袋小路に追い詰められたように感じてね」とグズマン教授。

現在政権を握っているスペイン社会労働党の、あまりにも慎重なやり方からは当初、医療大麻は利用者が非常に厳しく制限され、大麻が奏功することがわかっている疾患の多くが制度の適用外になるのではないかと思われました。ところが、土壇場の交渉の結果、子宮内膜症、多発性硬化症、てんかん、抗がん剤治療に伴う吐き気と嘔吐、がん性疼痛、神経性疼痛を含む非がん性疼痛に医療大麻が使えることになったのです。

医療大麻制度の運用が始まった暁には、理論上、スペイン国内の 30万人の患者がその恩恵に与れるものと考えられます。でも、線維筋痛症、炎症性腸疾患、がんによる悪液質、緑内障など、もっと多くの患者が、これまでと同じく、カンナビス・クラブや闇市場で医療用の大麻を手に入れるか、あるいは自分で栽培せざるを得ません。

「改善の余地はありますよ」とグズマン教授は認めます。「もちろん、他の疾患も適応症に含まれればよかったとは思います。でも、数年前にこの制度を説明されていたら、かなり良いじゃないかと思ったでしょう」

薬局でバッズ?

医療大麻制度の適用対象となる幸運な人たちにとっては、今年中に医療大麻の運用制度を整えなければならないスペイン保健省が、草案としてのガイドラインをどのように解釈するかによって状況が変わってきます。

保健省によれば、専門の医師の処方にしたがって、患者一人一人の症状に合わせて THCCBD の比率を変えたさまざまな製剤が病院の薬局で調合されることになっています。ただしグズマン教授と監視団のメンバーは、一般開業医や民間の薬局でもそれができるようになることを願っています。

もっと不透明なのが、草案には言及されていない乾燥大麻の花穂(バッズ)が医療大麻制度に含まれるかどうかという点で、突発性の激しい疼痛や吐き気を抑えるために大麻草をべーピングしている患者を不安にしています。

6か月以内に本当に医療大麻制度の運用を開始できるのか、という問題はさておき、制度が成功するかどうかは、投入される予算と人員次第だとグズマン教授は考えています。医師は大麻による治療について学ばなければなりませんし、処方できる製品がなくてはなりません。「制度があっても、製品がなかったり処方する医者がいなければ役に立ちませんからね」

誰が払うのか?

処方される医療大麻の価格も非常に重要です。グズマン教授は、主に国の社会保障制度がその大部分をカバーしてくれることを願っていますが、誰が費用を負担するのかを最終的に決めるのは保健省です。

「僕たち医療大麻監視団としては、制度が重要な点を満足させているかどうか、慎重に見張っていくつもりです。そのために僕たちにできることはまだあると思いますが、監視を続け、できる限り寛容な、最善の制度をつくるために、これからも積極的に動いていかなければなりません」

いずれにしても、健闘の結果、2023年は、少なくともスペインの患者の一部にとっては、やっと合法的に医療大麻が処方される年となりそうです。



イギリス在住のメアリー・バイルズ(Mary Biles)は、ジャーナリストであり、エデュケーターであり、Project CBD の寄稿者で、著書に『The CBD Book』(Harper Collins, UK)がある。

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Revision date: 
8月 20, 2022

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