CBDと不安神経症・がん・心臓病・依存症(ICRS 2019より)

CBDと不安神経症・がん・心臓病・依存症(ICRS 2019より)

国際カンナビノイド研究学会(International Cannabis Research Society)の2019年のシンポジウムでは、CBDが不安神経症、がん、心臓病、薬物依存症、脳損傷などに対して持つ治療効果に注目が集まりました。
国際カンナビノイド研究学会(International Cannabis Research Society)の2019年のシンポジウムでは、CBDが不安神経症、がん、心臓病、薬物依存症、脳損傷などに対して持つ治療効果に注目が集まりました。

国際カンナビノイド研究学会(International Cannabis Research SocietyICRS)の第29回シンポジウムが先月、メリーランド州ベセスダで開催され、さまざまな医療分野に関わりのある最新の CBD 研究結果が報告されました。

4日間の会議には、世界中から500名を上回る参加者があり、幅広いテーマで 65の講演と 200近いポスター・プレゼンテーションが行われました。これらはいずれも、新しい、未発表の内容であることが条件です。

ハーバード大学のステイシー・グルーバー(Stace Gruber)博士からは、中等度の不安を抱える患者を対象に、高CBD・低THCのティンクチャーを舌下投与してその効果を調べる「オープンラベルから二重盲検に移行する」初めての臨床試験の有望な結果が報告されました。被験者の中には、この臨床試験以前にカンナビノイド製品の使用経験がある人は一人もいませんでした。

予備的な分析データの結果は、「4週間の治療により、ベースラインとの比較で有意な症状の改善を示している」とグルーバー博士は言っています。「具体的には、この治験のために調整された全草抽出の高CBDティンクチャーを舌下投与すると、不安の程度が軽減し、不安神経症に関連した症状が減少した」のです。

このオープンラベル試験の後、グルーバー博士はプラセボ対照二重盲検比較試験を行う予定であり、それにより、「不安神経症に対する舌下投与型 CBD の効果について、実験に基づいた、正しいデータが得られる」としています。

CBDと高血圧

英国のノッティンガム大学でも CBD の臨床試験が行われ、シアーシャ・E・オサリバン(Saoirse E. O’Sullivan)博士の研究チームが、CBD が心臓血管機能に短期的・長期的に与える影響を調べました。

以前、ノッティンガム大学の研究チームによって、「短時間に CBD 600ミリグラムを経口摂取すると安静時とストレス下の血圧を下降させる」ということが示されました。でも、繰り返し CBD を摂取すると耐性がつき、CBD の血圧低下作用が弱まってしまうのではないでしょうか?

それを調べるため、健康な男性26人を対象にした無作為化二重盲検プラセボ対照試験が行われ、被験者は600ミリグラムのCBDまたは偽薬を7日間摂取しました。結果は一貫していませんでした。安静時血圧の数値は慢性的な CBD 摂取が耐性を生むことを示していたにもかかわらず、ストレス下の血圧を下げる CBD の作用に変化は見られなかったのです。

CBDの長期間投与による動脈硬化の軽減と、内頚動脈の血流および内皮機能の改善は、CBD が血管機能に好ましい効果を与えること示唆しており、該当する患者集団におけるさらなる研究が必要である」とオサリバン博士は報告しています。

基礎研究の成果

ICRS 2019 では、臨床試験だけにフォーカスしたプレゼンテーションもいくつかありましたが、CBD に関するプレゼンテーションのほとんどは、基礎研究に基づいた最新のデータが発表されました。それらの幅広さ、奥の深さは驚くほどで、CBD がいかに多様な治療可能性を持っているかを端的に示していました。

  • CBD脳卒中:ノッティンガム大学の研究チームによるメタ分析は、局所脳虚血の動物モデルに対する CBD の効果を調査しました。その結果、誘発された脳損傷によるダメージを CBD が抑えることがわかりました(「マウスを使った実験的脳梗塞において、CBD は梗塞体積を大幅に減少させ、初期の機能転帰を改善させた」)。ノッティンガム大学の研究チームはさらに、大麻草に含まれる、加熱されていない生のカンナビジオール酸(CBDA)が持つ抗炎症作用および神経保護作用についても検証し、「CBD と同様に CBDAもまた、脳卒中の細胞モデルにおいて、血液脳関門透過性と炎症の軽減に効果があった」と結論しています。血液脳関門の機能障害は、虚血再灌流の際に脳に激しい損傷を起こす二次損傷カスケードの主要な要因です。CBDCBDA は、セロトニン受容体 5-HT1a を活性化させることで血液脳関門の健全性を回復しますが、セロトニン受容体 5-HT1a はまた CBDCBDA の抗炎症作用を調整します。スペインでは、動物の新生子を使った実験が、脳に損傷を持つ新生児を対象とした CBD の臨床試験への道を開きました。
  • CBD依存症:コカイン依存症の治療のために FDA が承認した薬はありません。そのため国立薬物乱用研究所(NIDA)は、CBDコカイン依存症治療薬としての可能性を調査することにしました。NIDA の研究チームがコカイン依存症のマウスに CBD を投与して経過を観察したところ、CBD による全身療法が「コカインの自己投与における用量反応曲線が下方修正した」、つまり、CBD によって、マウスのコカインに対する渇望をやわらげたのです。「この結果は、CBDが、コカインの報酬効果を鈍くする治療効果を持つ可能性を示唆している」と NIDA の研究チームは言っています。またこの研究チームは、実験動物において CBD が依存症を緩和する作用を発揮する分子経路のいくつかを特定しました。その中には、セロトニン受容体 5-HT1a、CB2 カンナビノイド受容体、そして TRPV1 と呼ばれるイオンチャンネルが含まれています。これらの受容体の信号伝達を化学的な「拮抗剤」によって阻害すると、CBD の抗依存作用は失われました。
  • CBD前立腺がん:イタリアでは、2種類の植物性カンナビノイド、CBD とカンナビゲロール(CBG)の組み合わせが浸潤性の前立腺がんに与える効果についての追跡調査が行われました。以前行われた調査では、CBDCBG を含有比 1:1 で組み合わせると「ホルモン不応のマウスにおいては腫瘍の再発を大幅に減少させ、試験管内では腫瘍細胞の増殖を阻害し、アポトーシスを誘発」することがわかっていました。今回の ICRS で発表された同チームの最新の研究は、「精製された植物性カンナビノイド(CBDCBG)が悪性腫瘍の新陳代謝システムにどのように影響し」、前立腺がん細胞において「発がんに関与する特定の信号伝達経路に目立った変化」が生じるかを明らかにしました。これは「植物性カンナビノイドが代謝リプログラミングに有用である」ことの証拠であり、「極めて悪性の去勢抵抗性前立腺がん」の画期的な治療法の土台となる可能性がある、と研究者らは考えています。オーバーン大学の研究者らもまた、CBDTHC の抗腫瘍作用に関してこれと似た結論に辿り着きました。CBDTHC は、用量依存的に前立腺がん細胞の増殖を阻害したのです。アメリカでは9人に1人が罹り、死因の第2位であるとされる前立腺がんの患者にとって、これは朗報です。オーバーン大学で行われた基礎実験は、「カンナビノイドから新たな前立腺がん治療薬が開発される可能性」を示唆しているのです。
  • CBD関節炎・歯周病:イスラエル、英国、アメリカの科学者からなる研究チームは、合成 CBD抗炎症作用鎮痛作用について、関節炎の動物モデルを使って研究を行いました。基礎研究では「CBD が強力な鎮痛効果を発揮」し、CBD の「抗炎症作用の作用機序」に新たな光を投げかけました。それとは別に、英国のリーズ大学歯科学部による調査では、CBD が歯周病に対して強い抗炎症作用を持つことを明らかにしました。CBD による免疫機能調整作用は、「歯周病研究の分野で治療に応用が可能かもしれない」と、この研究は結論づけています。

CBDオイル製品について

CBDが持つ健康効果の可能性に期待するのも当然ですが、一言注意しておきます。純粋な CBD を、完全に管理された研究所内で動物に投与するのと、法規制のないインターネットショップで購入した CBD オイル製品を人間が摂るのは、同じことではありません。

プラハに拠点を置く国際カンナビス&カンナビノイド研究所(International Cannabis and Cannabinoid Institute、ICCI)が、EU 圏内で手に入るヘンプ由来 CBD オイル 70製品を分析し、ICRS シンポジウムで発表した結果は、控えめに言っても恐ろしいものでした。検体のうち 20% は、ラベルに表記されたよりも少ない量の CBD しか含まれていなかったのです。89% の検体には THC が含まれていましたが、そのほとんどはラベルに THC の量が表記されていませんでした。また、検査されたすべての検体に、強い毒性のある多環芳香族炭化水素が微量に含まれており、CBD 製品の製造者が、抽出・加工の工程をより良いものにする強い必要性があることは明らかです。

アメリカの CBD 市場にも同じ問題が蔓延しています。CBD 製品のラベル表記が不正確だったり不完全だったりすれば、消費者は、正しい情報に基づいて購入を決めることができません。フィラデルフィアにあるトーマス・ジェファーソン大学とセントルイスにあるワシントン大学の科学者らによれば、「近年の研究は、インターネットで買えるヘンプ由来の CBD 製品は、多くの場合、ラベル表記が正しくなかったり、汚染されていたり、ときには完全な詐欺である(カンナビノイドがまったく含まれていない)ことを明らかにした。したがって、州に認可された医療大麻制度の元に流通している、ラボによる検査が義務付けられている製品からの方が、医療効果が感じられる可能性が高い」と言えます。

正式に認可された大麻ディスペンサリーやデリバリーサービスもまた、販売する製品の品質を今以上に向上させる必要があります。「医療効果があることが明らかであるにもかかわらず、州に認可された小売店で入手できる CBD 製品は品質にばらつきがあり、驚くほど数が少ない。ペンシルバニア州のある店では、わずか 20% の製品(196製品のうち 39製品)にしか CBD が含まれていなかった。この調査結果は、本当の CBD 製品がもっと患者の手に入りやすくなる必要があることを物語っている。」とアメリカの研究者は述べています。


Martin A. Lee は Project CBD のディレクターであり、『Smoke Signals: A Social History of Marijuana – Medical, Recreational and Scientific』『Acid Dreams: The Complete Social History of LSD – the CIA, the Sixties and Beyond』を含む数冊の著書がある。



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Revision date: 
8月 6, 2019

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