科学に根ざした
医療大麻

科学に根ざした
医療大麻

神経科学者グレッグ・ガードマン博士は、医療従事者や研究者は大麻の科学や医療利用について学ぶべきだと訴えます。
神経科学者グレッグ・ガードマン博士は、医療従事者や研究者は大麻の科学や医療利用について学ぶべきだと訴えます。

この記事は、『South Florida Hospital News and Healthcare Report』に掲載されたものです。

医療を目的とした大麻の利用が今後なくなることはありません。患者、その家族、医師らから寄せられる体験談が、アメリカ人が家庭で使える医薬品として医療大麻を再び使えるようにしようという世論を後押ししています。大麻をめぐる法律が今後どのように変わっていくにしろ、医師をはじめとする医療従事者は、実際の社会で大麻が医療目的で使用されている理由、広く使われている他の医薬品との薬物相互作用のリスク、そして、正しい方法で医療大麻を使うことを法律で禁じるべきなのかについて、偏見を持たずにしっかりと考えることが非常に重要です。

医師はまた、人々が医療大麻を求めていること、またその人気が衰えないのは、そこに科学的信憑性があるからである、という重要な事実を認識すべきです。生物医学的研究は、エンドカンナビノイド・システム(ECSについて数々の発見をもたらしました。エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)はアラキドン酸を含む脂質性のシグナル伝達分子で、以前は神経細胞だけに存在すると思われていましたが実はそうではなく、体全体で産生されます。主にパラクリン型信号伝達を行い、幅広い恒常性維持機能を持っています。食べ物の摂取や代謝を司る神経内分泌調節機能、骨再形成、免疫機能の炎症に及ぼす多面的な効果、それによく知られている抗けいれん作用などはそのほんの一部です。数多くの信頼できる書籍や文献レビューが、内因性カンナビノイドが生理学的にいかに重要かを示しており、短い紙面ではとても説明しきれません。

科学におけるカンナビス研究の役割

これらの研究はもちろん、大麻草とも深く関連しています。たとえば、カンナビノイドが持つ神経保護作用についての重要な発見の多くが、マリファナの危険性を調べることに研究費を優先的に使った結果であり、これはある意味で皮肉なことと言えます。ただしこの研究分野は、哺乳動物の脳には非常に多数のカンナビノイド受容体 CB1 が発現していること、また内因性カンナビノイドは興奮毒性を弱めるために負のフィードバックを細胞に伝達する、という画期的な発見に始まり、薬物乱用の研究という政府お墨付きの研究目的をはるかに超えて拡大しています。

これらの研究データから得られる科学的知見は大変刺激的なものです。ECSは、人間に本来備わっている神経保護のシステムであると言うことができます。興奮毒性、てんかん発作外傷イスキミア(虚血)などから脳と脊髄を保護し、ホメオスタシス(恒常性)を維持するのです。カンナビノイドはまた、たとえばミクログリア活性化など、脳損傷を悪化させるさまざまな免疫反応からも脳を護ります。さらに現在は、加齢に伴う多くの神経変性疾患には慢性の神経炎症が大きく関係していると考えられています。

炎症は、慢性の神経因性疼痛およびリウマチ痛の重要な原因であり、カンナビノイドがその治療に有効であることを裏付ける臨床データが増加しています。カンナビノイドはまた、痛みの感覚を司る主要な神経回路を、複数のレベルにわたって積極的に調節しますし、恐れ、ストレス、感情を司る神経回路についても同様のことが言えます。

幅広い医療効果を裏付ける科学文献は豊富にあり、信頼のおけるものであって、専門的なものから一般人にもわかりやすいものまでさまざまな形で情報が提供されています。カンナビノイドの研究のうち、人を対象に行われたものはまだ少数であるのは事実ですが(明らかに、大麻を禁止する政策がもたらした結果です)、研究は急ピッチで続けられており、さまざまな疾患に対する作用機序が示されていくさまには、この分野で20年研究を続けている今でも驚きます。

大麻の医療利用

また、低用量であれば大麻草やその抽出物は忍容性が高く、高用量を摂った場合さえ、一時的に気分が悪くなることはあっても死ぬことはない、というのは広く認知されている事実です。ですから、非常に多くの患者が、大麻が自分の治療に役立つ、あるいは役に立つかもしれないと考えたとしても、そのことを驚いたり冷笑したりすべきではありません。むしろ医療従事者は、先頭に立って医療大麻について学ぶべきです。

今こそ医療従事者は、本当に必要としている患者が医療大麻を試して罪に問われるような大麻禁止法について、厳しく批判し発言すべきです。医療大麻について学び、医療大麻の使用を不可能にしている刑事罰について、自分なりの意見と倫理的な立場を持ってください。私自身は、フロリダ州で可決された「修正案2」*のようなやり方が、慎重かつ倫理に基づいたものであると考えています。

*フロリダ州で2016年に住民投票により可決され、それまで非常に限定的だった医療大麻の適応症を、医師が医療大麻の使用によって症状緩和の可能性があると判断するすべての疾患に拡大したもの。


グレゴリー・L・ガードマン(Gregory L. Gerdeman)博士はフロリダ州セントピーターズバーグにあるエッカード大学生物学科の助教授であり、フロリダ州ラスキンにある3 Boys Farmの主任科学者。1996年より、神経科学および大麻草とエンドカンナビノイド・システムの薬理について研究している。



この記事は Project CBD が許可を得て転載しています。著作者の許可なく転載を禁じます。


 

Revision date: 
7月 18, 2016

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