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リストに追加してください——CBDを含む大麻草由来のカンナビノイドは、骨の健康にもまた役立つかもしれません。骨組織における、カンナビノイド受容体の発現、内因性カンナビノイドおよび関連酵素の産生については、すでに 20年ほど前から研究が行われています。でも最近、カンナビノイド研究のほとんどの分野がそうであるように、この分野についても、基礎研究、および骨の病気や怪我の治療に使える可能性の研究の両面から関心が高まっています。

PubMed によれば、2020年には 36本、2021年には 33本の論文で「カンナビノイド」と「骨」という言葉が一緒に使われています。少ない、と思うかもしれませんが、より注目度が高いとされる研究分野である大麻と自閉症に関する論文と比べてもそんなことはありません。「自閉症」と「カンナビノイド」が一緒に使われている科学論文の数は、2020年には 23本、2021年には 38本でした。

もちろん検索語を使ったこのような比較は、研究のトレンドについてのぼんやりした輪郭しか示しません。論文の核となる内容がわかるわけではなく、論文中にこれらの言葉が使われているかどうかがわかるだけだからです。とは言え、ここ数か月、2本のレビュー論文と4本の実験研究を含むこの分野の論文が立て続けに発表されており、骨の健康とエンドカンナビノイド・システム(ECS)の関係について世界中で研究が続けられていることがわかります。

カンナビノイドと骨疾患

カンナビノイドと骨疾患については、変形性関節症(骨の先端の軟骨が擦り減って起きる最も一般的な関節炎)、骨粗しょう症(骨がもろくなる病気)、骨のがんを含む骨疾患の治療に外因性カンナビノイド(合成および大麻草由来)を使う可能性についてレビューした2本論文がわかりやすいイントロダクションを提供しています。

論文の1本はイタリアの研究チームが『International Journal of Molecular Science』に 2021年 11月に発表したもの1 で、「エンドカンナビノイド・システムの薬理学的調節」が——特に、合成カンナビノイドが CB2 受容体(エンドカンナビノイド・システムを介してさまざまな疾患に影響する経路とされるが証明はされていない)を作用標的とした場合——、「骨細胞の活動に変化が見られる疾患の治療に奏効する可能性がある」と結論しています。

2本目は『Frontiers in Pharmacology』誌に 2022年1月に掲載された、中国の南昌大学の研究チームによるレビュー論文2 で、 エンドカンナビノイド・システムと骨疾患に関する 20年間の研究の結果をまとめています。特に、大麻による医療についての動物を使った基礎研究の結果を強調し、植物性カンナビノイドが「変形性関節症を緩和させ、骨粗しょう症を予防し、がんに伴う溶解性骨病変を減少させ、骨折の治癒を促進させる」可能性を示唆しています。

大麻で骨を治せるか?

エンドカンナビノイド・システムが骨代謝に関係しているというエビデンスを元に、最近発表された2本の論文は、大麻——具体的には CBD ——が、怪我、病気、あるいはそれ以外の原因による骨の損傷の治癒を助けるかどうかを検証しています。

2022年 3月、テキサス州サンアントニオのテキサス大学健康科学センターとハーバード大学医学大学院付属ボストン小児病院の研究チームが『Journal of Orthopaedic Trauma』誌に発表した論文3 は、骨折後の骨の回復を、小児患者における大麻の使用者と非使用者で比較するという珍しい研究についてのものです。調査の対象となったのは、2010年から 2020年までに骨折の治療のために手術を受けた 10歳〜18歳の患者 399名で、薬物スクリーニングの結果、うち 21名が大麻ユーザーでした。

骨折の治癒を示す「癒合」に要する時間を比較したところ、大麻の使用者では非使用者よりも大幅に時間がかかり、その差は二倍でした。さまざまな変数についての調整も行われましたが、若いコホートにおいて大麻ユーザーの数が少ないということがこの研究の大きな限界となっています。

一方、『Colloids and Surfaces B: Biointerfaces』誌に中国の研究チームが発表した最新の論文4 では、CBD を含有させたアルギン酸塩—硫酸銅ヒドロゲルに骨欠損部の修復効果があることが示されています。インビトロ研究では、CBD を含まない対照用のヒドロゲルと比べ、CBDを含むヒドロゲルは抗細菌作用、抗炎症作用、血管新生(新しい血管の形成を促進する)作用、そして骨形成作用が有意に強いという結果でした。銅は、特に医療に使われる際には抗菌性を発揮することがよく知られており、著者らは、対照用のヒドロゲルそのものが一定の生物学的活性を示したと述べています。

作用標的としてのCB2受容体

Project CBD が以前記事にしたように、CB2 受容体の選択的アゴニストは、大麻による治療について研究している多くの研究者や製薬会社にとって魅力的な存在であり、その理由の一つは、それが CB1 受容体の活性化に伴う陶酔作用を回避できるということです。でもこれまで、そのような薬は臨床の現場では期待を裏切るものでした——CB2 受容体が人体内で驚異的なほど広範囲に分布していることからくる、意図しなかった効果や有害な作用があったためです。

それでも CB2 受容体という作用経路は、カンナビノイド研究において重要な役割を果たし続けており、骨の健康という分野も例外ではありません。最近中国から発表された2つの研究はその例です。

一つ目は 2022年 1月に『Molecules』誌に掲載された論文5 で、研究室での実験で骨細胞に有益な作用のある5種類の「植物性」CB2 受容体アゴニストを特定しています。論文は、これらの化合物が大麻草(論文中に一度だけ言及されている)に由来するものか、あるいは南太平洋に自生し CB2 アゴニストを含むカヴァ(引用文献で参照されている)に由来するものかは明記していません。

そして 2022年 2月には、『International Journal of Stem Cells』に掲載された論文6 が、カンナビジオール(CBD)がマウスの骨髄系幹細胞に与える影響を調べた実験について説明しています。予想通り、CBD は主に、CB2 に依存する経路(ただし CB2 を直接活性化するのではない)を通して炎症マーカーを低下させ、同時に新しい骨の形成を促進しました。


Nate Seltenrich は、サンフランシスコのベイエリアに住む科学ジャーナリスト。環境問題、神経科学、薬理学を含む幅広いテーマについて執筆している。


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脚注

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