
てんかんの治療には大きな進歩が見られますが、患者の3分の1は、未だてんかん発作を抑える効果的な方法が見つからずにいます。そんな中、カンナビノイド、中でも CBD が、難治性てんかんの一部に対する劇的な効果によって注目を集めています。けれども、医療大麻と、食品医薬品局(FDA)に承認されたエピディオレックス(Epidiolex。大麻から抽出・精製された CBD アイソレート)は違います。モントリオールの研究者らが先ごろ発表した論文はこの違いに注目し、THC と CBD が持つ抗けいれん作用の相乗効果を明らかにしています。てんかんはニューロンの過活動によって起きることがわかっていますが、その根本的な原因はさまざまです。この研究では、二つの発作発症モデル(一つは化学的なもの、もう一つは遺伝的なもの)を、ゼブラフィッシュを用いて検証しました。
高用量の THC または CBD を与えると、目に見える発作は減りましたが、健康な個体に副作用が出ました。THC と CBD を組み合わせると、用量は少なくて済みました。発作は、遺伝型モデルのてんかんでは軽減し、健康な個体の行動にも変化はありませんでした。THC と CBD の割合が1:1のものは相乗効果を示しましたが、CBD の方が含有比率が高いもの(5:1 と 10:1)では相乗効果はあまり見られませんでした。もちろん、魚を使った実験の結果がそのまま人間に当てはまるとは限りませんが、THC や CBD、またそれ以外の大麻成分が相乗的に働いて、その結果低用量で効果を発揮し副作用も少ない、という証拠が蓄積されつつあります。