
線維筋痛症は、主に女性に起こる、あまりよく理解されていない疼痛性疾患の一つです。イスラエルの研究者らは最近、線維筋痛症のために医療大麻を使用している 367名の患者を対象に観察研究を行い、有望な結果を得ています。
当初、観察対象となった患者のほぼ全員が強度の疼痛(0〜10の指標で 8〜10)があると答えましたが、医療大麻による治療を6か月続けた後ではほとんどの患者の疼痛が 5 まで軽減しました。生活の質についても、睡眠、食欲、性生活をはじめ、さまざまな指標が大きく改善しました。オピオイド系鎮痛薬またはベンゾジアゼピンを使用している患者のうち 20% は、こうした医薬品の摂取を減らすかあるいは完全にやめることができました。
患者はすべてイスラエルの医療大麻制度に登録されており、使用した医療大麻は、標準化された 14品種の中から提供されました。典型的な一日の用量は、THC 15% と CBD 4% を含む大麻草1グラムでした。
すべての患者に等しく効果があったわけではない、と研究者らは説明しています。60歳以上で、大麻を使うことを不安に感じる患者は最も効果が低かった一方で、合併症にけいれんが含まれ、過去に大麻を使用した経験のある患者に最も高い効果が見られました。
このデータからは、大麻は線維筋痛症の治療に使われる他の医薬品(たとえばアミトリプチリン)と同程度の効果があることが伺われ、治療法の一つとして注目されるべきと思われます。ただし、この研究にはいくつかの問題と限界もあります。途中で観察研究から離脱した人が 30% おり、そうした場合、試験としては良い結果が出やすいこと。頭がぼんやりする、口渇、消化器の不快症状といった軽度の副作用も、割合は大麻研究に限っても低いものではありましたが報告されました。また、この観察研究に参加した患者は、少なくとも1年間にわたって他の疼痛治療を受け、その効果が認められなかった人に限られました。線維筋痛症患者のうち、症状の重い人ほど治療は困難ですが、平均値への回帰があるために、実際よりポジティブな結果が出やすい傾向もあります。