大麻草に
依存性はあるか?

大麻草に
依存性はあるか?

食べ物が人を過食症にするわけではないのと同じく、大麻が人を大麻依存症にするわけではありません。
食べ物が人を過食症にするわけではないのと同じく、大麻が人を大麻依存症にするわけではありません。
A young white woman wearing and orange t-shirt, sunglasses, and a floral-printed headband smokes a joint in front of an aqua background.

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マリファナを吸った経験のある人なら誰しも、少なくとも一人くらいは筋金入りのストーナーを知っているはずです。いつも目が赤い彼。朝起きてまず大麻を一服する彼女。何をやらせてもだめな人。こういう大麻大好き人間たちは、低賃金の仕事をしていたり無職だったり…..。でも彼らをよく知る人たちは、彼らに少しでも野心というものがあれば、もっとずっと能力を発揮できるのだということを知っています。

これは本当に依存症なのでしょうか? 私はそうだと思います(そして、そう言うことが大麻合法化に反対することになるとは思いません)。事実、大麻に依存性がある理由を考えることで、依存症そのものの真実の姿が明らかになります。依存症というのは、人と、ある物質あるいはある行為との間にある関係のことです。依存性とは、薬物が「脳を乗っ取る」というような単純なことではないのです。実際に、依存症になる可能性のある経験はたくさんありますが、それを試す人のうち、ハマってしまう人は少数です。それに、一見「依存性のない」もの — たとえば人参でもいいのですが — の依存症になってしまう人というのも存在します。依存症を生み出すのは単に神経伝達物質だけでなく、どうやってそれを知るか、周囲の環境、それにその人の精神状況などが関係しているのです。

依存症を理解することの難しさ

嗜好大麻がすでに2州で合法化され、他にもいくつかの州が合法化を検討している現在 [訳注:この記事が書かれたのは 2014年]、依存症とはどういうものかを理解することがかつてないほど重要です。これについては大麻合法化に関する賛成派と反対派のいずれもが、極端な主張を繰り広げています。賛成派の中には、大麻依存症など存在しないと言う人がいますし、反対派の一部は「大麻はヘロインと同じくらい依存性がある」と主張します。

けれども、私たちが持っている依存症の概念は主に、アルコール、ヘロイン、後にコカインが社会にもたらした経験から来たものです。ヘロインのようなオピオイド薬に依存症がないと主張する人はいません — なぜならその離脱症状は、嘔吐、震え、蒼白、発汗、下痢といった、客観的に測れるものだからです。オピオイド薬は、それが切れたことが誰の目にも明らかな依存症を引き起こすのです。アルコールも同様で、離脱症状はさらに深刻であり、ときには死に至ることさえあります。

そこで初期の研究者たちは、依存症というものを定義するため、アルコール依存症とオピオイド薬の依存症に伴う、計測可能な症状に着目しました。その定義とは、「薬物の使用は耐性を生じさせることがあり、それによって用量が増加し、その結果身体的依存性が生じ、離脱にともなう苦しい症状を避ける必要性が薬物のさらなる使用の原因となる」という、シンプルな、身体的な側面についてのものです。

この定義に従えば、コカインと大麻には本当の意味での依存性はありません。コカインや大麻の摂取をやめると、イライラする、気持ちが沈む、欲しくてたまらない、眠れないなどの問題が生じることもありますが、それらはより主観的なものであって、身体的なものではなく「心理的」なものです。コカインや大麻が欲しくてたまらないとしても、本物の麻薬常習者のようにそれを「必要」とするわけではない、ということです。

人間は肉体よりもマインドに対してより大きなコントロール能力を持っている、とほとんどの人は考えているので、「心理的」依存症は「身体的」依存症よりも問題としてはずっと小さい、と思われがちです。こういう考え方の名残が、大麻には依存症は存在しないという考え方の根底にあるのです。しかし残念ながら依存症に関するこうした考え方は 1970年代の遺物です。

依存症からの脱出

1980年代 — 皮肉なことに、『サイエンティフィック・アメリカン』誌が、コカインを鼻から吸引するのとポテトチップを食べるのとでは依存性に差はないと主張して大きな議論を巻き起こして間もなく、起業家たちが、簡単に喫煙できるコカイン製品クラックの販売を始めました。クラックの誕生により、「身体的」依存症は「心理的」依存症よりもずっと深刻である、という考え方は崩れ去りました。なぜなら、コカイン依存症の人は、コカインをやめても吐いたり下痢をしたりすることがないからです。たとえその人が非常に苦しんでいても、それはヘロインやアルコールの離脱症状と違って、肉体的にあからさまな形では現れないのです。ですから、もしもあなたが、大麻はやめても身体に離脱症状が現れないので依存性はない、と主張するならば、クラックについても同じことを主張しなければなりません。

それは難しいと私は思います。クラック依存症患者が見せる何かに取り憑かれたような行動は、ヘロイン依存症患者のそれとまったく変わりません。それに、クラックを買うお金がないときに犯罪に手を染める確率は、言われてきたほど高くはないものの、ヘロイン依存症患者のそれと少なくとも同等と言えます。クラックは、「肉体的依存」と「心理的依存」の区別を消し去ったのです — 仮にそれが起きなかったとしても、神経科学の発達は、心と身体はもともとはっきりと区別できるものではないことを徐々に示し始めていました。

1970年代と 1980年代、研究者たちはまた、2週間にわたる強烈な肉体的離脱症状を経てヘロイン依存症患者の体内からヘロインを排除しても、それは効果的な治療法にはならないということに気づき始めました。もしもヘロイン依存症が、離脱症状を防ぐ必要性に駆られてのものであるならば、一度薬物を断ち切れば問題は解決するはずです。ところが、実際の体験者なら知っていることですが、それよりもずっと解決困難な問題があるのです。

ヘロイン依存をやめるのは楽なことではありませんが、問題は、その後ずっとやめたままでいられるかどうかです。依存症を引き起こすのは、「単なる」心理的渇望です。身体的な依存は、依存症における一番重要な問題ではありませんし、それがまったくないことさえあります。実際今では、依存症の症状はなくても身体的に依存した状態があることがわかっています。たとえば血圧の薬の中には、適切なやり方で用量を減らさないと恐ろしい離脱症状が起きるものがありますが、そうした薬を摂っている人は、身体的に依存はしていますがその薬を摂りたいという渇望があるわけではありません。同様に、パキシルといった抗うつ剤にも肉体的な離脱症状がありますが、ハイにはならないため、パキシルを手に入れようとして人々が薬局を襲うようなことは起こりません。

依存症の新しい定義

では、耐性、離脱症状、肉体的依存性が必ずしも存在しなくても依存症と言えることがあるのだとしたら、依存症とはどう定義されるのでしょうか? ここまでお話しした事実のすべてをまとめるとこうなります — 依存症とは、衝動的にある物質を使用したり、ネガティブな結果になるとわかっていながらある行動をとったりすることです。(より神経科学的な言葉で言えば、依存症とは、「脳の報酬系がある経験によって歪み、食べ物やセックスといった、進化学的適正に関与するものに固執するようになること」です。)報酬系を通して私たちに喜びを与えるものなら何でも(つまりそれは、快感が得られるものすべてということですが)、一定の人たちにとってある時点で依存性を持つ可能性があるということです。そしてその中には大麻も含まれます(ポテトチップもです)。

これは、大麻の依存症が、コカイン、ヘロイン、アルコールなどに対する依存症と同様に深刻なものであるということを必ずしも意味しません。実際、通常はそうではないのです。選択肢が与えられれば、家族の誰かが大麻の依存症である方が、コカイン、ヘロイン、アルコールの依存症であるよりもずっとましである、とほとんどの人が思うはずです。大麻依存がもたらすネガティブな影響は、比較的軽いものである傾向があります — たとえば、昇進を逃すことはあっても仕事をクビにはならなかったり、人との関係に悪影響があっても関係を完全になくしたりはしなかったり。そしてもちろん、過剰摂取による死の危険性はありません。

ただし、そこが同時に厄介な部分でもあります。大麻依存症は、知らないうちにあなたの人生を悪い方向に向かわせているにもかかわらず、それがひどくなりすぎないために、あなたは対処する必要を感じないのかもしれません。大麻はあなたの人生をめちゃくちゃにはしませんが、好機を逃す原因になっているかもしれません。日常的に使う薬物についてはさまざまなパターンがありますが、いずれの場合も、それを摂ることによるベネフィットの方がそれに伴う危険よりも大きいということを常に確認し続けることが重要ですし、依存症そのものがそれについての判断力を鈍らせているかもしれないことも忘れてはいけません。これは、大麻については特に言えることです。

とは言え、どんな薬物もそうですが、大麻のユーザーのうち依存症に苦しむのはごく少数です。調査によれば、依存症になるのは約 10% で、平均すると依存状態は6年ほど続きます。大麻への依存は、精神疾患を抱える人が自己治療のために使うことによるものである傾向が他の依存症よりも強いようです。大麻依存症の人の 90% は、他の種類の依存症あるいは精神疾患を持っており、その中でも多いのがアルコール依存症または反社会的パーソナリティ障害です。

このことは、大麻を使う人口が今より多くなっても、それが必ずしも依存症の人の数を増やすことにはつながらないということを意味しています。まず、反社会的パーソナリティ障害を抱える人は、その定義からして法律を遵守しない傾向があり、多くの人はおそらくすでに大麻を使用したことがあるでしょう。次に、既往の精神疾患がある人の割合は、大麻が合法化されても変化しないでしょう — 実際にイギリスでは、以前大麻の規制を緩和したのを、統合失調症患者が増えたのは大麻のせいではないかと恐れて覆しましたが、精神病患者の数はむしろ増加しています。(大麻と統合失調症患者の増加にはおそらく因果関係はなかったと思われますが、このことは、大麻を厳しく取り締まっても精神病の予防にはならないということを示唆しています。)

リスクを比較する

アルコール、コカイン、あるいはヘロインの依存症患者の一部が代わりに大麻を使うようになれば、全体としての害は減少するはずです。私自身を含め、少なくとも 2001年からさまざまな人が言っていることですが、大麻を依存症からの「出口」として使うという現象は、コカイン依存症とオピオイド薬依存症の両方において実際に起っているのです。

さまざまな薬物の危険性を考えるとき、私たちは往々にして、その薬物単体で考えます。けれども現実の社会では、私たちはそうやって物事を選択するわけではありません。自分のパートナーにはどんな依存症もない方がいいと思う人がほとんどでしょうが、依存症の中には、他と比べてより困った依存症もあります。大麻への渇望は、クラックに対する渇望ほど深刻なものであることは稀ですし、見て明らかにそれとわかるわけでもありません。

とは言え、快く感じるものなら何でもそうであるように、大麻の依存症になることはあり得ます。それは、どんな依存症も同じということではありませんし、現在合法であるアルコールやタバコと同じくらいの依存性が大麻にある、ということでもありません。データは明らかに、大麻の方が依存性が低いということを示しています。けれども、大麻にはまったく害がないとか、大麻依存症になる人はいない、と主張することは、誰のためにもなりません。薬物政策を改善したかったら、どんな依存症からの回復の場合もそうですが、まずは現実否認を避けることから始めなければなりません。

当記事は、Project CBD が許可を得て転載しています。著作権者の許可なく転載することはできません。

Revision date: 
11月 30, 2014

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