医療大麻を使う女性医師たちに敬意を

医療大麻を使う女性医師たちに敬意を

3月8日は国際女性デー。偏見と闘う女性医師たちをご紹介します。
3月8日は国際女性デー。偏見と闘う女性医師たちをご紹介します。

3月8日、国際女性デーは、女性が手にした成功を祝う日であると同時に、男女平等という聖杯を手にするまでの道のりはまだまだ長いということを痛感する日でもあります。Project CBD は、大麻業界で男女平等が達成されていると言う気は毛頭ありませんが、女性の医師や看護師について言えば、大麻業界では女性の活躍が目立ちます。

そこで今年は、先駆的な活動をしている女性医療従事者をご紹介します。患者にとっての最良の治療をするという責任感から大麻を使い始め、今では医療大麻の分野で世界を牽引するリーダーとなっている女性たちです。

歴史の中の女性ヒーラーたち

女性は大昔から、病気の人を癒やし、看護してきました。何千年にわたって健康の回復のために使われてきた伝統的な植物療法を守っていたのは、女性たちでした(地域によってはそれは今でも続いています)。実際に、大麻が伝統医療の一部として広く処方されていた時代には、世界中でメディスン・ウーマン(女性呪術医)が、ティンクチャー、お茶、塗り薬といった形で病人に大麻を投与していた可能性が高いのです。

不幸なことに、メディスン・ウーマンと大麻草はともに魔女狩りの犠牲になりました。15世紀から 18世紀にかけて、ヨーロッパや北米では女性ヒーラーは黒魔術を使っていると言って非難され、火炙りにされて、その数は減り、施術は秘密裏に行われるようになりました。そして 1930年代、ハリー・アンスリンガーが始めた、人種差別に根ざした悪名高い「大麻撲滅戦争」によって、20世紀の薬局方から大麻は姿を消したのです。

比較的近年まで、医師というのは男性の職業であるというのが社会通念でした。18世紀に医科大学というものができてから、女性が医学を学べるようになるまでには 100年以上かかったのです(ただし、その強い覚悟と勇気で、大学を欺いて入学した男装の女性も若干存在します)。

近頃では、医学大学の学生数、家庭医、小児科などの専門医療分野では女性の方が多いことも珍しくありませんが、にもかかわらず、医学界には不平等が依然として存在します。たとえば病院勤務医の数は女性が大幅に少ないだけでなく、アメリカの医学大学で教授や指導的立場にある女性の数は一般に少数です。さらにアメリカでは、女性医師の報酬は平均して男性より 25% 低いのです。

患者の転帰(治療の結果)については男性医師と女性医師の間で違いは見られませんが、調査によれば、女性医師は患者に接する時間が長く、よりホリスティックな治療アプローチを取り、生活習慣の改善、ストレス軽減テクニック、対人関係についての指導を行う傾向があります。

だからこそ、多くの女性医師や女性看護師には、患者一人ひとりに合わせたアプローチ、既存の枠組みに囚われないこと、そして患者の声に真剣に耳を傾けることが非常に重要である、大麻による医療がしっくり来るのかもしれません。

ボニ・ゴールドスタイン(MD

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大麻を使った医療において、アメリカで最も尊敬されかつ長い経験を持つ医師の一人であるボニ・ゴールドスタイン(Bonni Goldstein)はまさにその一例です。14年にわたって小児救急医療に携わったボニは、一人の友人の疾患の治療に大麻が非常に役立ったのを目撃して以来、医療大麻に情熱を抱くようになりました。

ボニはやがてカリフォルニア州で Canna-Centers Wellness and Education を創設し、難治性てんかん、自閉症、がんその他の疾患を持つ子どもたちを専門に診察しています。

ゴールドスタイン博士は先ごろ、『Cannabis is Medicine: How Medical Cannabis and CBD are Healing Everything from Anxiety to Chronic Pain』の著書として、また、大麻成分に反応するバイオマーカーを使って大麻による治療の効果を評価し、臨床現場の意思決定を導き、自閉症の子どもの転帰を改善する方法に関する学術論文2本の共著者として、世界的に著名な医療大麻の専門家という地位を確かなものにしました。

13年間にわたって大麻による医療という分野を牽引し、何千人という患者を診てきたボニは、自分が特に誇りに思う瞬間が一つあるわけではない、と言います。「私が嬉しく思うのは、私の患者が医療大麻によって経験する小さな(ときには大きな)症状の改善の数々です。たとえばてんかん発作の減少であったり、鎮痛薬をやめられたということであったり、自閉症の患者の一人が初めて口をきいた、と聞かされたときであったり。私はそういうときに何よりもやりがいを感じるのです」

ダニー・ゴードン(MD

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ダニー・ゴードン(Dani Gordon)医師もまた、2020年に『CBD Bible』という優れた本を著しています。

ゴードン医師は、家庭医および統合医療医として認定されています。医師としてのキャリアはカナダでスタートし、現在はイギリス在住です。

「医療大麻はとても強力な植物療法です。統合医療は患者を一人の人間として包括的に見るので、医療大麻とはとても相性が良いのです」とゴードン医師は言います。

カナダで統合医療の医師であったとき、大麻は、患者が最大限に健康な状態を取り戻すために行うさまざまな治療手段の一つにすぎませんでした。でもイギリスに移ってからは、医療大麻の専門知識への需要が一番大きくなりました。

ダニーは、マイク・バーンズ教授とともに医療大麻医師協会を立ち上げ、副会長を務めています。ダニーの持つ豊富な知識は、イギリスで新たに医療大麻を処方する医師の教育には欠かせないものでした。またごく最近開業した自身の統合医療クリニック Feel Clinics は、女性の心身の健康に特化し、独自のカンナビノイドの組み合わせ、大麻以外の薬用植物、機能性医学のためのテスト、エビデンスに基づいた「心身統合医療」を行っています。

「大麻と女性の健康について考えるとき、大麻医療業界を女性が牽引している理由は明らかだと思います。私自身を含め、女性は誰しもが一度は、医師が——多くの場合は男性医師だけれどもときには女性医師さえ——まともに取り合ってくれなかった、女性ならではの健康問題を経験しており、だからこそ女性にしか持てない考え方ができるんです。大麻を使う人たちの間で女性の健康に注目が集まっている今だからこそ、より多くの女性たちが、こうした問題について、また大麻や CBD がどのように役に立つかについて声を上げているのだと思います」

レイチェル・ノックス(MD

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ダニー・ゴードン医師同様、家庭医および統合医療医としての教育を受けたレイチェル・ノックス(Rachel Knox)は、ノースカロライナ州で家庭医としての研修期間中、多くの同僚がエビデンスの不在を理由に医療大麻の話を拒むことに驚きました。

その頃、ノックス医師の母親で麻酔医としての長い経験を持つジャニスは、すでに医療大麻の世界に足を踏み入れており、それがきっかけで、大麻とエンドカンナビノイドを使った医療の研究に家族全員が熱心に関心を寄せるようになりました。

ですからレイチェルが、母親のジャニス、父親で救急医のデヴィッド、同じく医師である姉のジェシカとともに The American Cannabinoid Clinics を創設したのはごく自然なことでした。

Project CBD によるインタビューの中でノックス医師はこう語っています。

「医療大麻の世界ではこれまで長いこと、大麻草にフォーカスが置かれていました。でも患者が私たちのところに来るのは病気を治したいからであり、私たち医師は患者を治すための教育を受けているわけです。さまざまな疾患や症状を診察するとき、私たちが実際に治療しているのはエンドカンナビノイド・システムです。ですから、American Cannabinoid Clinics では、私たちは「エンドカンナビノイドロジー(内因性カンナビノイド療法)」を施術する「エンドカンナビノイドロジスト(内因性カンナビノイド医)」である、という言い方をしています。そして私たちは、おそらくはエンドカンナビノイド・システムに最も多様な形で作用するツールである大麻草を使うわけですが、他にもエンドカンナビノイド・システムの治療に役立つ色々なものを併用します」

ノックス医師は、マイノリティ集団における医療格差の問題の解決にも尽力しており、黒人のコミュニティに対して、大麻、サイケデリックス、その他の植物療法が総合的な健康に与える影響についての教育を行っています。

パオラ・ピニェーダ

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コロンビアの医師パオラ・ピニェーダ(Paola Pineda)は、同時に医師法も修めており、コロンビアで最初に大麻を処方した医師の一人であるだけでなく、同国の大麻規制を前進させるのに重要な役割を果たしました。

ピニェーダ医師は、眠れず、激しい疼痛に悩まされる HIV 患者に対する最後の治療手段として大麻を初めて処方しました。それによって症状が大きく改善したのを見た彼女は、徐々に他の患者の複雑な健康問題に対しても大麻を処方するようになりました。すると患者の数が急増し、8年間で、難治性小児てんかん、がん、神経変性疾患、免疫性疾患など、診察した患者は 1,000人を超えています。

カンナビノイドを研究する Curativa というグループの創設者でもあるピニェーダ医師にとって、合法的な医療大麻業界の発展は、コカインの取引にまつわるコロンビアの暗い歴史からの脱却を記す大事な一歩でした。

「私はコロンビアの大麻農家がライセンスを取り、大麻の栽培、抽出と加工について持っている彼らの豊富な経験をこの国の新興産業で生かせるように、彼らと協力しています。麻薬戦争で痛めつけられた国にとって、これを経済的な機会と捉えることがとても重要なんです」

ピニェーダ医師は、コロンビアの大麻業界で女性が果たす役割に期待しています。

「種子の扱い、栽培、前臨床試験、管理、現状改革のための活動、患者との連携、政策立案、教育、報道、意思決定など、この業界のあらゆる分野に女性が参加しなければなりません。大麻草やその他昔から使われている植物に対する認識を変化させる一端を担うことで、麻薬戦争が幕を下ろし、この国は医療大麻研究の先頭に立つことができます。そうすれば、長い間非合法的に大麻に関わってきた人たちに十分な報酬を伴う職を提供できるだけでなく、麻薬戦争の犠牲になってきた女性たちにも仕事を提供できるのです」

エロイーズ・テイセン(NP

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医療大麻を使っている患者を相手にする看護師を代表する存在として、American Cannabis Nurses Association の現会長であるエロイーズ・テイセン(Eloise Theisen)ほど相応しい人はいないでしょう。

カリフォルニア州在住のエロイーズは、公認高齢者医療ナース・プラクティショナーであり、看護師としての経験は 20年以上に及びます。もともとは腫瘍科の看護師であったエロイーズは、投薬の管理が杜撰なことが多いのを目の当たりにしてきました。

「慢性疾患の治療の複雑さは、あまりにもたくさんの人が治療に関わっていて、投薬全体を管理できる船頭が不在の場合があるからだと思うんです。たとえば後期の認知症の人が、どうして記憶を改善する薬を摂る必要があるんでしょう? あるいは末期がんの患者のコレステロールを心配する必要がありますか?」

実は、エロイーズが大麻草の持つ医療効果に興味を持ったのは、自身が多剤併用の弊害を経験したことがきっかけでした。

エロイーズは Project CBD の取材でこう語っています。「私は複数の医師に薬を処方されていました。8種類目の薬を処方されたとき、医師間のコミュニケーションがなかったために、私はセロトニン症候群になってしまったんです。昏睡状態に陥り死ぬことさえある病気です」

幸いにもエロイーズは大麻を見つけ、処方薬の摂取をやめ、疼痛を緩和することができました。

この経験でエロイーズは仕事の方向性を変え、Radical Health を開業して、カンナビノイドを中心とした治療を患者に提供すると同時に、医師や業界関係者に向けた大麻教育を行っています。

看護の仕事は、慢性疼痛や神経変性疾患に苦しむ高齢の患者のケアが中心です。

「最近は、認知症患者のケアに情熱を注いでいます。彼らの神経精神症状の緩和に大麻草を使うんです。こうした患者の中には、大麻によって症状に素晴らしい改善が見られた人もいるんですよ、機嫌がよく、笑顔を見せて….。患者さんの生活の質が改善するのを目にするのはとても嬉しいことです」

大麻を使った看護に切り替えて以降およそ 6,000人の患者を診ているエロイーズは、医療大麻の臨床現場に具体的な用量のプロトコルを持ち込んだ最初の医療従事者の一人です。

とは言え、こと大麻政策に関しては、看護師と言えども控えめにしていることはできないということを、エロイーズは早い段階で学びました。

「ある人に、看護師というのは往々にして良い人すぎる、と言われたんです。私はそれを肝に銘じて、私の患者のため、あるいはこの業界のために変えなければならないと思うことがあれば、必ず議論に参加するようにしています。とても疲れますけどね——メッセージを伝えるためには、色々な理事会だの諮問委員会だのに関わることになりますから」

これを読んでいる皆さんはきっと、大麻であれ何であれ患者にとって最良の治療を提供することに心血を注ぐ女性医療従事者の方々に対する、Project CBD の敬意と謝意に賛同してくださることと思います。

メアリー・バイルズによるダニー・ゴードン医師、エロイーズ・テイセン看護師のインタビューの全編を聞きたい方は、ポッドキャスト Cannabis Voices をどうぞ。

 


イギリス在住のメアリー・バイルズ(Mary Biles)は、ジャーナリストであり、エデュケーターであり、Project CBD の寄稿者で、著書に『The CBD Book』(Harper Collins, UK)がある。

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Revision date: 
3月 2, 2022

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