CBNと睡眠の気になる関係

CBNと睡眠の気になる関係

分子生物学者が大麻業界に根付く神話の真相を暴く
分子生物学者が大麻業界に根付く神話の真相を暴く

マット・エルメス博士は、カンナビノイドの研究者であり大麻愛好家です。博士論文とポスドク研究はカンナビノイドの生化学にフォーカスしたもので、研究者として多大な貢献をした後、現在は研究者としてのキャリアを離れ、カリフォルニア州の大麻業界に従事しています。


あなたの友人も、バッドテンダーも、口を揃えてこう言います——よく眠れるようになりたいなら、CBN(カンナビノール)がいいよ!  

大麻の研究者であり、大麻業界で製品の開発にも携わっている者として、私はこの退屈な主張の正当性の検証に多くの時間を費やしてきました。マイナー・カンナビノイドは非常に興味深いと思いますし、私は常に、存在する客観的なデータを検討し、それらが持っているかもしれない作用を裏付けたいと思っています。ところがです—— CBN には睡眠を改善するという定評がありますが、驚いたことに、発表された科学的文献の中には、実際にこの主張を裏付ける本物のデータはほとんどないのです。

『Cannabis and Cannabinoid Research』に先ごろ掲載されたレビュー論文にも同様のことが書かれています。これは、CBN に関して発表された、人間を対象とした質の高い研究のほぼすべて [1] を科学的に網羅してまとめたものです。本記事では、この論文の要点を繰り返し、同時に私自身の考えを少々加筆して、これを読む人が、CBN について、十分な情報をもとにした判断を下せるようにしたいと思います。

まず初めに:CBNとは何か?

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カンナビノールは、19世紀の終わりに、大麻草から一番初めに単離されたカンナビノイドです。その後、CBNTHC の分解物であることがわかりました。つまり、大麻草が古くなるにつれて、THC は時間とともに徐々に CBN に変化するのです。古くなった乾燥大麻は通常 CBN の含有量が多く、代わりに THC 含有量が少なくなります。光と熱はこの変換プロセスを加速させるので、大麻は冷暗所に保存しろ、と一般に言われるのはこれが理由です。

基礎実験の結果は、CBNCB1 受容体に、Δ9-THC の約 10分の 1 の強さで結合することを示しています。この CB1 受容体との親和性により、CBN にはおそらく、人間に対する弱い精神作用があると思われます(なぜ「おそらく」なのかは後述します)。CBN は、CB1 受容体よりも CB2 受容体との親和性の方が高いので、THC に似た抗炎症作用があると考えるのは理に適っています。

ある化合物がある受容体に結合する強さは科学的に割り出すことができます。これは Ki 値として表記されます。Ki 値の数字が小さければ小さいほど結合は強く、それが薬の場合は通常、より効能が高くなります。Δ9-THCCB1 受容体に対する結合親和性は 21nM(21ナノモル)、CBN の結合親和性は 211nM ですから、THC の結合親和性は CBN の約 10倍ということになります。CB2 受容体に対する CBN の結合親和性はそれよりも強く、126nM です [2]。

CBNと睡眠についての研究結果

動物を使って行われた、CBN に関するさまざまな基礎研究についてはあまり重要視したくありません。マウスで起きたことが人間には起こらない、というのはよくあることだからです。動物実験のデータからわかる最も重要で本記事に関連が深いのは、CBN が軽微な「カンナビイド様の作用」を示すという点で一致しているということです(たとえば、CB1 受容体の活性を測るために設計された試験で軽微な THC 様の作用を示した、など)。でも、CBN が睡眠に与える影響に関してははっきりと一致した結論はないようです。中には、バルビツール酸系催眠薬によって眠らせたマウスの睡眠時間が CBN の投与によって延びたという研究もありますが、これと反対の結果だった研究もあります [3, 4]。また CBN はサルに与えても効果はありませんでした [5]。

同様に、人間を対象とした CBN 研究についても、質の高いものしか取り上げません。一口に臨床試験と言ってもその質や重要性は同じではありません。観察研究やアンケート調査に頼って CBN が睡眠を改善させると結論づけた研究も色々ありますが(たとえばこの論文こちらの記事)、こうした研究はしばしば、大麻業界で既得権を持つ企業が出資したもので、結果や結論を信頼するに足るクオリティの高い試験デザインができていないことが多いのです。また、研究結果が査読を経ていなかったり、本人の報告による主観的な測定の結果だったり、プラセボを使った対照群との比較が行われていない研究の「結果」には、さしたる重要性はありません。

その理由を説明しましょう。どんな患者でも、CBN ティンクチャーを渡して「これを毎日摂取して、どれくらい睡眠が改善されたか教えて下さい」と言えば、たとえ実際にはニュートラルな結果でも、報告される結果は必ずと言っていいほどポジティブなものになります。同じ患者に、カンナビノイドが入っていないティンクチャー(いわゆるプラセボ)を渡し、CBN が入っていると嘘をつけば、やはりほぼ間違いなくポジティブな結果が出ます! 自分が摂取するものが何らかの効果を発揮する、と信じるだけで、実際にその効果が起きるのに十分であることが多いのです。

ほとんどの人はプラセボ効果を過小評価しています。でも、臨床試験を行う科学者には、ある効果が本当にプラセボ効果以上のものであるかどうかを判断する手段があります。人間の精神が持つパワーは非常に強いので、科学的なエビデンスを検証するにあたり、試験が適切にデザインされていることが重要であることは、いくら強調しても足りません。

次なるアンビエン?

文献を検索すると、人間を対象として CBN の作用を調べた質の高い臨床試験が9本見つかります。これらはすべて、査読を経て一流の科学ジャーナルに掲載されたもので、少なくともプラセボを対照としているか、あるいは適切な盲検化が行われています。

留意すべきは、これらの臨床試験のほとんどが、睡眠障害そのものに焦点を当てたものではないということです。これらの試験の設計からは明らかにならない何らかの形で、CBN が睡眠障害のある側面を改善するという可能性はあるかもしれません。とは言え、CBN が「次なるアンビエン」であるという巷の評判を考えると、これらの試験に参加した多くの被験者の中に、眠くなる作用を感じた人が少しくらいいてもよさそうなものです。それなのに、被験者のほとんどは、THC を含まない CBN 製剤には何の効果も感じなかったのです。

本記事の最後に付録として、これら9つの臨床試験の要約と主な結論を時系列に並べておきますので参照してください。この、質の高い9つの臨床試験のうち、CBN が睡眠を誘導する可能性が少しでも示唆されたのは2つだけでした。ではこれらについて、さらに詳しく分析していきましょう。

もうろうとし、ボーッとし、酔っぱらってフラフラする

1970年代初頭に、ブラジルのパウリスタ医科大学で行われた臨床試験(付録のリストの #4)では、20代後半の男性5名が、カンナビノイドまたは複数のカンナビノイドの組み合わせを経口摂取しました。彼らが摂取したのは、偽薬(プラセボ)/CBN 50mg/THC 25mg と CBN 0mg または 12.5mg または 25mg または 50mg の組み合わせでした。

論文には、5名の被験者のうち4名は「パウリスタ医科大学のレジデント」であると書かれていますが、これがパウリスタ医科大学附属病院精神科の研修医(レジデント)という意味なのか、あるいは精神科の入院患者(レジデント)という意味なのかははっきりしません。個人的には、後者である可能性が高いと思います。

精神科病棟の入院患者をこのような臨床試験の被験者にするというのは、現在なら倫理審査委員会が顔をしかめるでしょうが、この試験がブラジルで行われた今から 50年近い昔には、臨床試験も今とはちょっと違ったやり方で行われていたのかもしれません。また被験者が入院患者であったとすると、このコホートが一般集団を正しく代表しているのか、この結果には、被験者が他の向精神薬を併用していることによる影響があるのではないか、という疑問が浮かびます。

いずれにしろ、被験者は各自、「嬉しい—悲しい」「頭がボーッとしている—頭がはっきりしている」「暑い—寒い」「酩酊感を感じる—素面である」といった、作用を形容する主観的な言葉を 66組提示され、自分の状態がどちらであるか、またその程度を1から4までの数字で示すよう指示されました。その結果、CBDだけを 50mg 摂った場合は、プラセボを摂った場合と、主観的な効果についても心拍数についても変わりませんでした。66組の主観的効果のうち、有意な差が報告されたのは「ボーッとする」を含む4組だけで、それも CBNTHC と組み合わせて摂ったときだけでした [10]。統計的に有意な差が認められた主観的効果は、「もうろうとする」「ボーッとする」「酩酊感を感じる」「フラフラする」の4つでした。

有意差が認められた4つの主観的効果も、私に言わせれば、控えめに言っても大して興味深い結果ではありません。興味のある方は、この論文の図1を見てください。 有意差を生じさせた THCCBN の用量はバラバラで、予想される用量反応曲線とは似ても似つかないものです。CBN の最低用量と最高用量には作用があっても中間用量では作用がなかったり、最低用量には作用があってもそれより用量が多い場合は一切作用がなかったりしています。薬理学的に見るとこれはかなり不可解です。

この論文について私が一番問題だと思うのは、CBN の摂り方4種類についてそれぞれ 66組の主観的効果を評価した、つまり全部で 264 回の比較が行われたとすれば、単にたまたま偶然的にその中のいくつかで統計的に有意な差が出ても当然だ、という点です。これは統計学では「第一種過誤」と呼ばれ、この試験結果にもそれが多少当てはまるのではないかと思われます。基本的に、個別に検証する項目が多ければ多いほど、データセットに偽陽性が含まれる可能性は高まります。さらに、サンプルサイズが極めて小さい(この論文では被験者はたった5人です)ため、CBN の効果として得られた「もうろうとし、ボーッとし、酔っぱらってフラフラする」という結果が統計的なノイズに過ぎない可能性が高いでしょう。

大麻由来製剤と不眠症に関する最近の研究

次に、起業したばかりの製薬会社 Zelira Therapeutics の出資によって近年行われたフェーズ 1a/2b の臨床試験を見てみましょう(ただし試験の計画と遂行、分析は、製薬会社とは関係のない西オーストラリア大学の睡眠科学センターで行われました)。ZTL-101 と呼ばれるこの Zelira の製剤は、大麻草から抽出され精製された3種類のカンナビノイド(THC+CBN+CBD)をヒマワリ油に混ぜたもので、舌下投与を前提とし、THCCBNCBD 比は 20:2:1 です。

この臨床試験には、慢性的な不眠症のある 24名が参加し、2週間にわたってプラセボまたは 0.5ml の ZTL-101(=10mg THC+1mg CBN+0.5mg CBD)を、寝たい時間の1時間前に摂取しました。4日後には、希望があれば用量を 1mL(=20mg THC+2mg CBN+1mg CBD)に増量してよいことになっていました。

これはクロスオーバー試験でした。つまり、2週間後、プラセボを摂っていた被験者は ZTL-101 に、ZTL-101 を摂っていた被験者はプラセボに切り替えたのです。すべての被験者が臨床試験の過程でプラセボと試験薬の両方を摂ることで、個人差による結果のばらつきを抑制し、試験の信頼度が大きく高まります。

睡眠の質は3つの方法で評価され、自己申告による睡眠の記録、アクティグラフ(夜間の身体の動きをモニターする腕時計による記録)、さらに期間中に一晩、終夜睡眠ポリグラフ検査(脳波、心拍、血中酸素濃度、脚と眼球の動きの包括的な分析)を行いました。

終夜睡眠ポリグラフ検査ではプラセボ群と ZTL-101 群の間で統計的に有意な差は見られませんでしたが、自己申告による睡眠記録とアクティグラフの計測値は、ZTL-101 が不眠症の重症度を低減させ、入眠までの時間を短縮し、夜間に目が覚める回数を減らし、合計睡眠時間を長くしたことを示し、被験者からは、朝目覚めたときに身体がしっかり休まった感じがするという報告がありました。

総合するとこの試験の結果は、ZTL-101 が不眠症を大きく改善し、睡眠の質を高めた、と結論するに足るものであるように思われます。素晴らしい結果です。睡眠医学における医療大麻の効果を裏付けるエビデンスがまた一つ増えたのです。ただし、こうした効果を発揮しているのは、比較的微量の CBNCBD ではなく、実は THC である可能性が高いように思います。

実際に、THCのみの製剤が睡眠に役立ったと使用者が報告している臨床試験は多数あります(ただしこの点については相矛盾するように見える結果も散在します)[6]。この臨床試験では、CBNTHCCBD との組み合わせでしか試験されていませんから、さらなる比較試験が行われるまでは、CBN の効果についてはわかりません。付録のリストの #7 にあるように、一日に 1000mg 以上の CBN を摂っても眠くなる作用がなかったのであれば、この臨床試験で投与されたわずか 1〜2mg の CBN に効果があったとは考えにくいでしょう。

睡眠の仕組みを変化させるのは THC

エンドカンナビノイド・システム(ECS)は、私たちの睡眠や夢と深い関わりがありますが、その仕組みはまだよくわかっていません。大麻のヘビーユーザーは一般にあまり夢を見ないことが(少なくとも、夢をよく覚えていないことが)わかっています。ところがそういう人が大麻使用を止めると、寝付きが悪くなったり、眠ると今度は非常に鮮明な夢を見る傾向があります。ECS が睡眠と覚醒の概日周期を調整することも知られていますから、これらのことは、大麻に、私たちの睡眠のあり方を変化させる力がある可能性を示唆しています。

睡眠に関する質の高い臨床試験では、CBD が睡眠の状態を変化させるという結果は出ていません。日常的に CBD を使っていた人が使用をやめた場合に夢のリバウンド効果があったという報告も私は知りません [7]。大麻が睡眠に与える影響は、主に THC によるものであるようです。THC がどのように睡眠に影響するかに関する研究の結果は少々複雑ですが、一般的には、入眠までの時間が短くなり、徐波睡眠の時間は長く、レム睡眠時間は短くなると考えられています [6]。

CBN アイソレートの摂取は、ECS を軽度に刺激し、それが睡眠をある意味で改善するということは考えられます。ですがこれは、非常に低用量の THC を摂取するのとメカニズムとしては変わりません。また歴史的に見ると、これまでは CBN アイソレートのみを摂る人はいなかったわけです——なぜなら、CBN を多く含む大麻草には、必ず THC がある程度含まれているからです。CB1 受容体に対する刺激が実際に CBN が作用する仕組みであるならば、THCCBN よりはるかに CB1 受容体との結合親和性が高いわけですから、THCCBN の間には大した相乗効果はないはずです。言い換えれば、THC 製品に多少の CBN を加えたところで(現在市場にある製品のほとんどがそうですが)、睡眠を誘導する効果が高まるとは考えられません。

では、CBN に睡眠誘導の作用がないとしたら、いったいこの噂はどこから来たのでしょうか? 昔から、古くなった大麻草は鎮静効果が強いとされてきました。そして CBNTHC の主な分解物であるという事実がより広く知られるようになると、人々はその鎮静効果を、古くなった大麻草に比較的多く含まれる CBN のせいにし始めたのです。

テルペンとテルペノイド

古くなった大麻は鎮静効果が高い傾向があるというのはおそらく本当ですが、それが CBN によるものであるかどうかは疑問があります。大麻草は何千種類もの化学成分からできており、時間の経過とともに他のものに変化するのは THC だけではありません。植物に含まれる植物化学物質は、時間の経過とともに、常にさまざまな形で分解し、あるいは変化しています。酸性のカンナビノイドは脱炭酸して中性のカンナビノイドになったり、酸化して別のマイナー・カンナビノイドに変化したりします。テルペンは空気中から酸素原子を取り込んで(たとえばリナロールなどの)テルペノイドになり、それが比較的強い鎮静作用を示すこともあります。

「テルペン」と「テルペノイド」という言葉は、しばしば同義語であるかのように使われますが、厳密に言うと、テルペンというのは炭化水素(炭素原子と水素原子だけでできた化合物)であり、テルペノイドにはそれ以外の官能基が、通常は酸素原子として含まれています。

さらに、古くなった大麻にはセスキテルペン(βカリオフィレンなどの、いわゆる「重い」テルペン)の割合が高いのも特徴です。これは、大麻草が産生するもう一つの主要なテルペンの種類であるモノテルペン(リモネンなど「軽い」テルペン)は、揮発性が高く、したがって大麻から蒸発してしまいやすいからです。大麻が古くなり、テルペン・プロファイルが変化した結果、鎮静効果あるいは睡眠誘導効果が高くなることはあり得ます。

テルペンの薬理作用について、人間を対象として行われた研究は悲しいほどに不足していますが、動物モデルでは、さまざまなテルペンが、強力な鎮痛効果・鎮静効果を示しています [8, 9]。興味深いのは、対象の動物にナロキソン(オピオイド拮抗薬)を与えると、そうした効果が阻害されるということです。これは、一部のテルペンが、少なくとも部分的に内因性オピオイド系を介して作用することを示唆しています。

テルペンそのものは、オピオイド受容体を活性させないのでオピオイドではありません。ただしテルペンの中には、人体による天然のオピオイド産生量を増加させたり、あるいはオピオイド受容体のポジティブ・アロステリック・モジュレーターとして機能するものがあります。ポジティブ・アロステリック・モジュレーターとは、受容体に働きかけて、他の化合物による活性化(こうした化合物を「作動薬」といいます)が起きやすくするものです。

結論

近年、大麻市場では CBN の需要が高まり、製造企業は、眠りを助けるという評判を大々的に喧伝しています。でも、これまで行われた研究によれば、CBN には眠気を催させる作用は特にないようです。CBN の催眠性を裏付ける風聞は豊富ですが、私自身は、こうした主張には懐疑的です。

CBN の薬理作用が完全に解明されるためには、臨床試験が圧倒的に少なすぎます。CBN が催眠効果を発揮する、未だ未発見の作用機序があるという可能性はありますが、この仮説を裏付けるしっかりしたエビデンスは見たことがありません。おそらく、俗に言われる CBN の催眠効果は、2つの原因から生まれた単なる噂にすぎない可能性が高いでしょう。その原因とは、まず、歴史的に人々が、古くなった大麻は鎮静効果が高いことに気づき、それを THC の分解物に誤って結びつけたこと。そして、プラセボ効果というのは非常に強力な薬である、ということです。

付録:9本の論文

以下は、人間を対象に CBN の効果を調べた質の高い臨床試験の内容を要約し、時系列に沿って並べたものです。これらはすべて査読プロセスを経て一流の科学ジャーナルに掲載され、少なくともプラセボを対照としているか、あるいは適切に盲検化されています。試験の概要と主な結論を簡略にまとめてあります。

CBNに関する臨床試験 #1

  • 場所:アメリカ、ノースカロライナ州;ノースカロライナ医科大学チャペルヒル校
  • 主著者:Dr. Mario Perez-Reyes
  • 発表年:1973年
  • 対象:健康な男性 6名
  • 概要:被験者には薬物を含まない生理食塩水が点滴によって静脈に直接注入された。被験者には、ある時点で生理食塩水が CBN を含む溶液と差し替えられ、毎分 1.2mg という一定の速度で CBN が投与されることが告げられた。被験者が CBN の効果に気づき始めたのは CBN が 14mg ほど注入された時点だった。被験者らの報告によれば、それは気持ちの良いものだったが、THC の作用と比べるとずっと弱かった。さらに投与量が増えると心拍数が上がり、これは、CBNCB1 受容体を活性化する作用があることを裏付けている(CB1 受容体を活性化すると心拍数があがることはよく知られた事実である。THC を摂取しても心拍数は上がる)[10]。

CBNに関する臨床試験 #2

  • 場所:アメリカ、カリフォルニア州パロアルト;退役軍人医療センター
  • 主著者:Dr. Leo Hollister
  • 発表年:1973年
  • 対象:中年男性6名。全員がある程度の大麻使用経験あり。
  • 概要:被験者は 20〜400mg の CBN を(チョコレートクッキーの形で)経口摂取した。いずれの用量でも、精神的・肉体的作用は認められなかった。これは、CBN を血中に直接注入すると軽微なハイを引き起こし、心拍数を上げる、という上記臨床試験 #1 の結果と相反しているように見える。400mg の CBN を経口摂取すれば血中濃度は臨床試験 #1 の場合よりも高くなるはずなので、この2つの結果の差は意外である [11]。

CBNに関する臨床試験 #3

  • 場所:アメリカ、カリフォルニア州パロアルト;退役軍人医療センター & スタンフォード大学医学部
  • 主著者:Dr. Leo Hollister & Hampton Gillespie
  • 発表年:1975年
  • 対象:健康な男性 15名。全員が若干の大麻使用経験あり。
  • 概要:臨床試験 #2 と同じ研究チームが2年後に行ったもの。今回は、THC 20mg と、CBN 40mg またはプラセボ入りのクッキーを被験者に食べさせた。「THC+CBN」群と「THC+プラセボ」群の反応に検出可能な差はなく、40mg の CBN は何らの作用も及ぼさないようだった。著者らは、「臨床効果という意味では、THC+プラセボ群と THC+CBN 群ではいずれも定量的作用を示さず、定性的には両者は同一の効果を示した」と述べている [12]。

CBNに関する臨床試験 #4

  • 場所:ブラジル、サンパウロ;パウリスタ医科大学
  • 主著者:Dr. Isac Karniol
  • 発表年:1975年
  • 対象:20代後半の男性5名。うち4名はパウリスタ医科大学のレジデント。残り1名は建築家。
  • 概要:被験者は、プラセボ、CBN 50mg、THC 25mg、あるいは THC 25mg と CBN 0〜50mg のいずれかの組み合わせを経口摂取した。被験者は各自、「頭がボーッとしている—頭がはっきりしている」「嬉しい—悲しい」「幸福感に満ちている—気持ちが落ち込んでいる」など、作用を形容する主観的な言葉を 66組提示され、自分の状態がどちらか、またその程度を1から4までの数字で示した。掲載された論文の図1に、66組の言葉のペアのうち4組についての結果が示されている。CBD のみを 50mg 摂った場合は、プラセボを摂った場合と、主観的な効果についても心拍数についても変わらなかった。THCCBN を組み合わせて摂ると、特定の組み合わせでは、「ボーッとする」を含め、統計的に有意な差が認められる主観的効果があった [13]。

CBNに関する臨床試験 #5

  • 場所:オーストラリア;ニューサウスウェールズ大学
  • 主著者:Dr. Kevin Bird
  • 発表年:1980年
  • 対象:健康な成人 161名(男性 122名、女性 39名)。ほとんどが大学生。年齢は 18〜36歳。
  • 概要:被験者は、体重1キロあたり 320 マイクログラム(平均的体重の成人ではおよそ 25mg)の CBN を、単独あるいは体重1キロあたり 215 マイクログラム(およそ 16mg)の THC と一緒に経口摂取した後、認識力、知覚、反応時間、運動機能などについての一連のテストを受けた。著者らは、実施したいずれのテストにおいても CBN は作用を示さなかったと結論している。THC と一緒に CBN を摂取しても、THC を単独で摂取したときとの差は認められなかった [14]。

CBNに関する臨床試験 #6

  • 場所:アメリカ、カリフォルニア州パロアルト;退役軍人医療センター
  • 主著者:Drs. Leo Hollister & Stig Agurell
  • 発表年:1981年
  • 対象:18歳から 40歳の男性 12名。全員に大麻使用経験あり。
  • 概要:同じく Dr. Hollister 博士のチームによる臨床試験。この試験のフォーカスは、CBNTHC の代謝に影響を与えるかどうかだった。摂取したカンナビノイドは前回と同じ(THC 20mg と、プラセボ/CBN 40mgのいずれかを経口摂取)。2つの集団で有意な差は認められなかった [15]。

CBNに関する臨床試験 #7 

  • 場所:アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルス;カリフォルニア州立大学医学部
  • 主著者:Dr. Henry Gong Jr.
  • 発表年:1984年
  • 対象:21〜32歳の健康な男性 59名。全員が大麻を常用。
  • 概要:被験者は、一日に 100mg、600mg、1200mg のいずれかの CBN を 20日間連続で摂取した。自己評価による「ハイの度合い」は、CBN のいずれの用量の場合もプラセボと差がなかった。1200mg という最も高用量の CBN を摂取した場合でさえ心拍数は変わらなかった。被験者のうち 12名はその後、臨床試験の第2部に進み、CBN 400mg と THC 5mg を同時に摂取した。CBN は、心拍数にも、THC によるハイの程度の主観的評価にも影響を与えなかった [16]。

CBNに関する臨床試験 #8

  • 場所:スウェーデン、ウパサラ;ウパサラ大学
  • 発表年:1987年
  • 主著者:Drs. Leo Hollister & Eva Johansson
  • 対象:年齢 19〜31歳の健康な男性 6名。すべて大麻使用経験が豊富だが、臨床試験の前、少なくとも 72時間にわたって大麻使用を停止した。
  • 概要:この試験のフォーカスは、喫煙と静脈内投与による血中 CBN 濃度の違いを計測することだった(この種の試験は「薬物動態」試験と呼ばれる)。被験者は、20mg の CBN を点滴によって静脈内投与され、その1週間後、今度は 20mg の CBN を含有し THC は含まない大麻を喫煙した。効果の主観的評価はこの試験の目的ではなかったが、著者らは、喫煙の場合も静脈内投与の場合も精神作用は認められなかったと述べている [17]。

CBNに関する臨床試験 #9 

  • 場所:オーストラリア;西オーストラリア睡眠障害研究所 & 西オーストラリア大学
  • 発表年:2021年
  • 主著者:Dr. Jennifer Walsh
  • 対象:年齢 25〜70歳の慢性不眠症患者 24名(女性 20名、男性 4名)。
  • 概要:この試験では、慢性不眠症治療における ZTL-101(THCCBDCBN 比が 20:2:1 の製剤)の効果を検証した。被験者は、ZTL-101 を2週間舌下投与したところ、プラセボ群と比較して、不眠症の症状ならびに自己報告による睡眠の質が有意に改善された [18]。

 

参照文献

  1. Corroon, J., Cannabinol and Sleep: Separating Fact from Fiction. Cannabis Cannabinoid Res, 2021. 6(5): p. 366-371.
  2. Rhee, M.H., et al., Cannabinol derivatives: binding to cannabinoid receptors and inhibition of adenylylcyclase. J Med Chem, 1997. 40(20): p. 3228-33.
  3. Karniol, I.G., R.N. Takahashi, and R.E. Musty, Effects of delta9-tetrahydrocannabinol and cannabinol on operant performance in rats. Arch Int Pharmacodyn Ther, 1974. 212(2): p. 230-7.
  4. Chesher, G.B., D.M. Jackson, and G.A. Starmer, Interaction of cannabis and general anaesthetic agents in mice. Br J Pharmacol, 1974. 50(4): p. 593-9.
  5. Mechoulam, R., et al., Chemical basis of hashish activity. Science, 1970. 169(3945): p. 611-2.
  6. Babson, K.A., J. Sottile, and D. Morabito, Cannabis, Cannabinoids, and Sleep: a Review of the Literature. Curr Psychiatry Rep, 2017. 19(4): p. 23.
  7. Linares, I.M.P., et al., No Acute Effects of Cannabidiol on the Sleep-Wake Cycle of Healthy Subjects: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Crossover Study. Front Pharmacol, 2018. 9: p. 315.
  8. do Vale, T.G., et al., Central effects of citral, myrcene and limonene, constituents of essential oil chemotypes from Lippia alba (Mill.) n.e. Brown. Phytomedicine, 2002. 9(8): p. 709-14.
  9. Linck, V.M., et al., Inhaled linalool-induced sedation in mice. Phytomedicine, 2009. 16(4): p. 303-7.
  10. Perez-Reyes, M., et al., A comparison of the pharmacological activity in man of intravenously administered delta9-tetrahydrocannabinol, cannabinol, and cannabidiol. Experientia, 1973. 29(11): p. 1368-9.
  11. Hollister, L.E., Cannabidiol and cannabinol in man. Experientia, 1973. 29(7): p. 825-6.
  12. Hollister, L.E. and H. Gillespie, Interactions in man of delta-9-tetrahydrocannabinol. II. Cannabinol and cannabidiol. Clin Pharmacol Ther, 1975. 18(1): p. 80-3.
  13. Karniol, I.G., et al., Effects of delta9-tetrahydrocannabinol and cannabinol in man. Pharmacology, 1975. 13(6): p. 502-12.
  14. Bird, K.D., et al., Intercannabinoid and cannabinoid-ethanol interactions on human performance. Psychopharmacology (Berl), 1980. 71(2): p. 181-8.
  15. Agurell, S., et al., Interactions of delta 1-tetrahydrocannabinol with cannabinol and cannabidiol following oral administration in man. Assay of cannabinol and cannabidiol by mass fragmentography. Experientia, 1981. 37(10): p. 1090-2.
  16. Gong, H., Jr., et al., Acute and subacute bronchial effects of oral cannabinoids. Clin Pharmacol Ther, 1984. 35(1): p. 26-32.
  17. Johansson, E., et al., Single-dose kinetics of deuterium-labelled cannabinol in man after intravenous administration and smoking. Biomed Environ Mass Spectrom, 1987. 14(9): p. 495-9.
  18. Walsh, J.H., et al., Treating insomnia symptoms with medicinal cannabis: a randomized, crossover trial of the efficacy of a cannabinoid medicine compared with placebo. Sleep, 2021. 44(11).

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Revision date: 
1月 12, 2022

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