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患者が絶大の信頼を置き、科学者は興味津々、政府のお役人はどうしていいかわからず、投資家が夢中になる——CBDオイルは、今最も注目を集める薬剤です。ほんの数年前は知っている人がほとんどいなかったCBDオイルを、今では多くの人が求めています。数百万人の人々が、CBDオイルを健康補助食品として使っているのです。でもCBDとはいったい何なのでしょう? CBDはどこから来るのでしょう? どうやって作られ、そしてCBD製品を買う前にあなたが知っておくべきこととは?

CBDオイルはどこから来るのか?

カンナビジオール(CBD)は、大麻草の油性の樹脂の中に100種類以上存在する、大麻草独特の化合物「カンナビノイド」の一種です。このねっとり、ベタベタした樹脂は、密集して咲く大麻草の花穂(普通「バッズ」と呼ばれます)に最も集中しています。花穂は小さなマッシュルームのような形をした「トリコーム」で覆われています。魔法はここで起こります。

トリコームは特殊な腺状構造を持ち、CBD、テトラヒドロカンナビノール(THC)、芳香成分であるテルペンの数々など、医療効果のある貴重な油性化合物を豊富に含有しています。ではなぜ大麻草はこれらの油性化合物を産生するのでしょう? この樹脂は、大麻草のために何をしているのでしょうか?

この油性のトリコームは、大麻草を暑さや紫外線から護ります。また抗菌・抗バクテリア・殺虫作用があり、捕食者を寄せ付けません。さらに樹脂のネバネバが虫を捕らえることも、大麻草を護るのに役立ちます。

実はこの、大麻草の健康を守る油性樹脂にはたまたま、人間の健康に良い成分も含まれています。CBDは陶酔作用のない成分で、幅広い疾患の治療や症状緩和に役立つことが期待されています。CBDの従兄弟とも言える、陶酔作用を持つTHCについても同様です。

トリコームとは

CBDオイルは、大麻草が作るトリコームという樹脂から抽出されます。大麻には非常に多くの「品種」があります。トリコームに含まれるCBDの量は、大麻草またはヘンプの品種によって違います。樹脂の量が少ない産業用ヘンプ(法的には、乾燥重量で含有THCが0.3%未満の大麻草のことを言います)はトリコームの数が少なく、したがって、樹脂を多く含む大麻草の品種に比べ、含まれるオイルの量も少なくなります。

ただし、樹脂を多く含む大麻草の品種のほとんどは、現在、THCの量が最も多く、CBDは微量しか含みません。ですから、CBDオイルを抽出する際には、CBDを豊富に含む大麻草のケモバー(含有する化学成分によって定義される品種のこと)を選ぶことが重要です。

トリコームの構造はもろく、大麻草の花穂から取り出すのは簡単です。大麻草を手荒く扱うだけでもトリコームは落ちてしまうほどです。ハシシやキーフ(パウダー状のハシシ)は、花穂を扇動することで油性のトリコームを大麻草から振り落として作ります。熱や圧力をかけてトリコームを一部溶かし合わせ、樹脂を平らな板状に固めることもあります。こうしてできたものはロジンといい、喫煙したり経口摂取することができます。

大麻草の花穂、また量は少ないですが葉に集中してできる樹脂、トリコームのほかに、柄を持たないトリコームが茎の中に点在していますが、そこには精油やCBDはほとんど含まれません。(また大麻草の表面は、カンマ記号を逆さまにしたような形で、オイルを含まない、非腺性の毛にも覆われています)。大麻草やヘンプの根と種子にもCBDは含まれません。

CBDオイルはどのように作られるのか?

CBDオイルを作るにはまず、CBDを豊富に含む原料から始めなければなりません。大麻草からCBDオイルを抽出する方法にはいくつかあり、それぞれに長所と短所があります。安全性と効率も違います。

原料から成分を抽出し、溶剤を取り除いたCBDオイルは、精製してさまざまな製品を作ることができます。たとえばエディブル、ティンクチャー、ジェルカプセル、ベープオイル・カートリッジ、トピカル(局所薬)、飲料、その他色々です。

抽出する目的は、大麻草に含まれるCBDその他の有効成分(たとえばテルペン)を、濃度の高い形で使えるようにするためです。カンナビノイドはもともと油性なので、大麻草からCBDを抽出すると、どろっとした強力なオイルができます。そうしたオイルの質感と純度は、主に抽出に使われた方法によって決まります。

CBDその他の植物性カンナビノイドは、化学的にはテルペノフェノール化合物に分類されます。つまり、CBDは油とアルコールのどちらにも溶けるということです。ですから、大麻草からCBDを抽出するには、油またはアルコールベースの化合物を溶かすことのできる溶剤が使われることが多く、その中には、超臨界CO2、エタノール、炭化水素(たとえばブタンガス)、オリーブオイルなどが含まれます。

VIDEO: 大麻オイルの作り方:クローンからコンセントレートまで

CO2による抽出

CO2抽出は、業務用に使われる方法としては、CBDその他のカンナビノイドを大麻草原料から分離する最も一般的なものであり、かつ最も安全な方法の一つです。二酸化炭素は常温では気体ですが、高い圧力をかけて温度を変化させると、気体が持つ流体動力的性質は保持したまま液化します。これを「超臨界」状態といって、二酸化炭素が溶剤の役割を果たし、植物原材料から活性成分を洗い出すのです。

それぞれの化合物は、ある特定の条件下においてのみCO2で抽出が可能であるため、これは非常に効率的な方法です。超臨界状態の温度、あるいは圧力をほんのわずか変化させることで、CBDや、その他目的に適った植物成分の抽出を微調整することができるのです。

圧力が下がると、未精製でろう状の、CBDを豊富に含んだ金色の抽出物が二酸化炭素ガスから分離して回収容器に溜まります。この金色のオイルはその後、「脱ろう」と呼ばれる工程によって純化・精製されて、品質と価値が高まります。植物ワックスは、製品のタイプによっては含まれていると困るので除去され、最終的に、クロロフィルは含まれず、安全で清潔でCBDをたっぷりと含むオイルが出来上がります。

超臨界CO2による抽出には高価な機器と、高度なオペレーション技術の習得が必要ですが、エタノールやブタンガスのような可燃性の溶剤と違い、火災や爆発の危険がありません。

エタノールによる抽出

エタノールを使って大麻草やその他の植物から医療効果のある成分を抽出するというのは、多くの文化圏でずっと昔から行われてきたことです。1854年の米国薬局方は、「インディアン・ヘンプ」からエタノールで抽出したティンクチャーを、神経痛、うつ病、出血、疼痛、筋けいれん他、さまざまな病気の治療に使うことを勧めていました。

芳香を放つこうしたティンクチャーは、1937年、あらゆる形での大麻の使用を禁じるマリファナ課税法が制定されるまでは、アメリカでは標準的なヘルスケアの一部でした。しかし、連邦法による禁止にもかかわらず、手作りの大麻ティンクチャーは隠れた民間医療として、社会に取り残されたラテン系アメリカ人のコミュニティーで生き残ったのです。

近年、エタノールは、大麻草オイル全般、特にCBDオイルの抽出方法として再び人気が高まっています。大麻草抽出物から作ったティンクチャーは原材料である大麻草の花穂と強度は同じくらいですが、そのティンクチャーを濃縮したものは、花穂よりはるかに効き目があります。現在、非常に濃度が高く高品質な、経口摂取できるCBDオイルを作るのに、食品等級のエチルアルコールが広く使われています。

医療大麻のディスペンサリーで入手できる、エタノールによるエキストラクト(抽出物)は、一般に「リック・シンプソン・オイル(RSO)」または「フル・エキストラクト・カンナビスオイル(FECO)」と呼ばれます。RSOまたはFECOを作るときは、大麻の花穂をエタノールに浸し、撹拌後に濾過してエタノールを取り除きます。その後に残ったオイルを、カンナビノイドを たっぷり含んだドロドロのものになるまでゆっくりと熱します。非常に粘度が高いため、正確な用量を計るのは困難です。

用量の計測と摂取をしやすくするために、プラスチック製の、針のついていないシリンジに入って販売されることが多いRSOには、大麻草から抽出されるすべてのカンナビノイドが含まれているはずです(これをフルスペクトラムと言います)。つまり、CBDが豊富な品種から抽出されたものでも、エタノールを使って抽出されたRSOには、少量のTHCが含まれています。初めは、小さめの米粒ほどの量以上は摂らないよう気をつけましょう。すべての大麻オイルに言えることですが、このタイプの大麻オイルに関しては特に、少量から始めてゆっくり増やしていくのがベストです。

炭化水素による抽出

ブタンガス、ヘキサン、プロパンガス、あるいはそれらを混合したものなど、炭化水素溶剤を用いてCBDを抽出する方法は、他の方法と比べて、とても良い面もあると同時に大きな欠点もあります。正しく行えば、この抽出方法はカンナビノイドやテルペンを、不要な大麻草の成分(たとえばクロロフィル)から非常に効率よく分離させ、大麻草独特の香りや医療効果を保つことができます。

炭化水素を使って抽出した大麻草の抽出物の質感は、樹液のようだったり、耳垢のようだったり、もろいキャンディーのようだったりします。「シャター」と呼ばれる製品(見た目がガラスのようで、ガラスのように割れることからついた名前です)は、「ダブ・リグ」とという器具、または高温のベポライザーを使って吸入します。

ただし、ブタンガスその他の炭化水素は非常に可燃性が高く、神経毒性も強い物質です。これらの溶剤が完全に除去されていないCBDオイルの使用は身体に害となる場合があります。免疫不全の人の場合はなおさらです。炭化水素はまた、CBDオイルに有毒な残留物が含まれる可能性のほか、製造過程の安全性が確保されていないと、危険な爆発の原因ともなります。

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管理体制に欠けるCBDオイル製品

繰り返しますが、CBDオイルは、ヘンプオイルともヘンプシードオイルとも違います。中には、ヘンプシードオイルにCBDアイソレートを混ぜただけの、低品質な製品を作っている会社もあります。そうした製品は、CBDが豊富でかつフルスペクトラムなオイルが持つ、さまざまな有効成分による相乗作用を持ちません。

ヘンプを原材料としたCBD製品の製造については、残念ながらほとんど規制がなく、そのことが混乱と偽物が出回る原因になっています。CBDおよびTHCの含有量について、ラベル表記と実際の内容が異なっているものも少なくありません。また、きちんとした製造工程で作られていないCBDオイルには、危険な溶剤、残留殺虫剤、希釈剤、コーンシロップ、人口調味料や人工着色料、その他有毒な物質が含まれていることがあります。

可能であれば、医療大麻あるいは嗜好大麻を合法化した州の、認可されたディスペンサリーでCBDオイル製品を購入するのが望ましいでしょう。そうした州は、急成長するCBD産業をきちんとしたやり方で管理することを拒む州や国と比べて、CBDオイル製品により厳しい品質基準を設けている可能性が高いのです。CBDオイル製品やサプリメントを買う前に、成分表をよく読み、検査ラボによるテストの結果や、CBDの濃度が表示通りであるかどうかを確かめましょう。


Zoe Sigman は元 Project CBD のプログラム・ディレクター。Broccoli Magazine のサイエンス担当エディター。


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